埼玉県の自民党県議団が提出した「虐待条例改正案」に疑問の声が続出しています。子どもだけの「登下校」や「留守番」も認められないということですが、線引きはどこにあるのでしょうか。解説です。

子どもだけで留守番は虐待に? 細かい線引きで賛否の声

山内あゆキャスター:
子どもだけの「お留守番」などが虐待にあたるという、埼玉県の新たな条例をめぐり賛否の声が高まっています。

10月4日に提出された埼玉県の虐待禁止条例改正案によりますと、例えば▼子どもを自宅に残して外出 ▼子どもを残し車を離れることについて、小学3年生(9歳)以下は虐待、小学4年生~6年生は努力義務にするということです。

改正案を提出したのは埼玉県自民党県議団です。車の中にいた子どもが熱中症で亡くなったり、子どもだけの留守番で火災が発生したり、また登下校時の誘拐や、ちょっと目を離した隙に転落してしまうなど、事故や事件から子どもの安全を守りたいためと県議団は説明しています。

しかし、どこからが虐待なのかという線引きがかなり細かいのです。埼玉県議会の質疑によりますと、すぐに子どもの元に戻れるか、戻れないかが大きな分岐点になっているそうです。

▼子どもだけで「登下校」「公園遊び」→虐待
▼高校生の兄弟と留守番→虐待
▼子どもを置いてごみ出し→虐待
▼玄関先で宅配などの受け取り→虐待ではない

埼玉在住の保護者の方からは様々な意見が出ています。
「子どもが発熱、家に残して買い物は?」
「小学校に電車通学、遠方まで付き添い?」
「下校時間までに迎えに行けないと?」

さらに、虐待を受けたと思われる子どもを見つけたら通告・通報する義務があります。今回の条例が可決された場合、子どもが1人でお買い物をしていたら通報すべきなのでしょうか。

ホラン千秋キャスター:
大前提として子どもの安全を守りたいという姿勢はとても大事です。何時間も家に子どもを放置したまま帰宅しないということはあってはなりません。しかし子どもを置いてゴミ出しは駄目となると、現実的に厳しい部分もあるのではないでしょうか。

ハロルド・ジョージ・メイさん:
論点が間違っているのではないでしょうか。なぜ、1人になってしまうのかというと、ベビーシッターなどの制度が充実していないからでしょう。共働きの方々の社会進出をさらに阻むことになると思います。