厚生労働省が発表している「10万人あたりの新型コロナウイルスの新規陽性者」のデータについて、ワクチンを打った人の一部を「未接種扱い」にしていたことが問題になっています。
指摘を受けて、厚生労働省はデータを修正し、厚生労働大臣が陳謝するなど波紋が広がっていますが、政府内でも「データ修正」の解釈について食い違いが生じています。
いったい何が起きているのでしょうか?
接種日を覚えていないと…「打っていない」に分類していた?
医療機関で感染者が見つかった場合、オンラインで国に詳細なデータを送ることになっています。
その一つが「ワクチンの接種歴」。
「打ったか」「打っていないか」「打ったならいつ打ったのか」を調べることになっていますが、名古屋市のクリニックでは、打った日付についてはおよそ半分の人が覚えていないと言います。

(細川外科クリニック・細川秀一院長)
「(4月の陽性者30人のうち)15人は打ったと言っているが、日付がわからない人だった」

厚労省が感染者のワクチン接種歴を調べる目的は、ワクチンを打っていても感染する、いわゆる「ブレイクスルー感染」がどのくらいあるのかの実態調査です。
10万人あたりの新規陽性者数を、ワクチンを打ったか打たないかで分けて公表しています。
4月4日から4月10日までを見てみると、「10万人あたりの新規陽性者数」は、ワクチンを打っていない人の方が多くなっています。

ところが、このデータの扱いに根本的な問題があったのです。
指摘を受けて…グラフの形が大きく変わった
最初にこの問題を指摘した名古屋大学の小島勢二名誉教授です。
(名古屋大学・小島勢二名誉教授)
「接種したかどうかデータが不十分な場合に関しては、厚労省は未接種者として分類して計算していた」

厚労省はワクチンの接種日が分からない場合、すべてを「未接種」、つまりワクチンを打っていない方に分類していました。
指摘を受けた厚労省は4月11日の週から、接種日が分からないケースを「接種歴不明」に分類するよう変更しました。
その結果、グラフの形は大きく変わったのです。