酒税法の改正により10月1日からビール系飲料の酒税の税率が変わります。増税され値上げとなる「第三のビール」は買いだめが本格化。一方、「ビール」は減税で値下げかと思いきや、人気のクラフトビールでは一筋縄でいかないようです。

富山市内の酒店で山積みにされた「第三のビール」。税率の改正による値上げの前に特設コーナーが用意され、9月27日には平日にも関わらず昼間から客が訪れていました。
やまや堀川店・横山右京店長「普段1ケース2ケース買っていただくお客様が3ケース4ケースまとめ買いされているような状態です」
訪れた客に尋ねてみると…
記者:「10月1日を前に?」
客:「ええ。いつも飲んでいるから。10月1日になる前にだいぶ無くなるかもしれん」

ビール系飲料の酒税の税率は「ビール」、「発泡酒」それに麦芽を使わず大豆やえんどう豆などを使ったいわゆる「第三のビール」でそれぞれ異なりますが、改正によって「第三のビール」の税率は350ミリリットル当たり約9円引き上げられます。

政府は「税率の格差が商品開発や販売数量に影響を与えている」として、2026年には3種類すべての税率が54.25円にそろえられる予定です。これにともない「ビール」の税率は350ミリリットル当たり約6円の引き下げになり、大手ビール4社は来月以降の値下げを決めています。
一方でー。

富山県黒部市の「黒部の名水」を使用した味わい深さが特徴のクラフトビール、宇奈月ビール。こちらの商品は酒税法上の分類では「ビール」にあたりますが…。
宇奈月ビール・清水哲也支配人「差額6円くらい、本来だったらお客様に価格転嫁して安く売りたいところなんですけど。それを上回る原材料費の高騰とか、もろもろ経営費の高騰がありましたので、今回は据え置くことになりました」

税率は引き下げられますが、販売価格は値下げできないといいます。
宇奈月ビールでは毎年70キロリットルのビールを製造していますが、ここ2年ほどで電気代が倍増しているほか、ロシアのウクライナ侵攻以来ビールに欠かせない大麦の高騰も深刻で、今回の減税分を差し引いてもコストの上昇分をカバーできないのが現状です。
宇奈月ビール・清水哲也支配人「小さいロットで作ると、価格はどうしても上がってしまいますので。大手さんはそれを大量に販売することで、薄めることができたとしても、小さい地ビール会社はそれができないので…。やはりコロナ禍もあってですね、非常に3年間でわれわれもダメージを受けましたので。どうしても今それが出来ない状態なので。忸怩たる思い」
家計の味方だった第3のビールが高くなり、大手のビールは値下げ。一方、小さな醸造所は悩みながらの据え置き。消費者の動向にどう影響するのでしょうか。