東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出が始まってから1か月が経ちました。放出に反発している中国では、人気の旅行先の上位から日本が外れるなど影響が続いています。
記者
「処理水の放出が始まって、間もなく1か月ですが、こちらの日本料理店では、まだ客足は戻ってきていないということです」
北京にある日本料理店。処理水の放出で訪れる客が減ったことから、カレーや麺類、すしを主力にした出前に力を入れていますが…
北京の日本料理店 曽我井充昭料理長
「月の売り上げでいえば、あきらかにまだ下がっています。多い時の3割から4割ぐらいですね。(消費者は)海鮮イコール“気をつけなきゃ”という感じはあると思います」
中国政府が日本産水産物の輸入を全面禁止した結果、先月の日本からの輸入額は去年の同じ月に比べて7割近く減少。さらに中国産の水産物にまで影響が出始めています。
ここは北京市有数の海鮮市場。中国産の魚やカニを扱っていますが、養殖のものであっても売り上げは減少したといいます。
鮮魚店の従業員
「(Q.海鮮に対して影響は?)影響が大きかったです。(Q.中国産はどうか?)国産かどうかは関係なく影響がある。(処理水は)魚に影響はないが、消費者の考え方に影響を与えている」
一方、市民からは。
北京市民
「食べても食べなくても、海はもう汚染されてしまったからあまり気にしません」
「(処理水の)排出は科学的な観点から見ると(水産物への)影響はないと思う」
日本料理店や食品輸出の関係者らは「中国側が『日本の魚は安全』だと宣言するまで影響が続くのではないか」と懸念しています。
影響は観光にも。処理水の放出が始まる前、日本は検索ランキングで1位になるほど人気の旅行先でした。しかし、中国メディアによりますと、いま人気なのはタイや韓国、マレーシアなどで日本は入っていません。
北京市民
「(Q.どこに行きますか?)マニラです。『核汚染水』にしても、愛国者の立場からしても、日本に行って中国の金を使うことはあり得ない」
北京にある日本大使館にはこの週末も2万件を超える迷惑電話があり、きのうまでのおよそ1か月で55万件に達したということです。
中国政府は処理水の放出に対し厳しい姿勢を崩しておらず、問題の長期化が懸念されています。
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