長時間労働のストレスから胃潰瘍を患い亡くなったとして労災認定された当時62歳の男性の遺族が、会社側に損害賠償を求めている裁判の第1回口頭弁論が富山地裁で開かれ、会社側は「胃潰瘍を発症する予見可能性はなかった」などとして請求棄却を求めました。男性の遺族は「会社の株もせっせと買い一生懸命働いていました。再雇用で給与が下がっていても何も言わず、働いてて、使い捨てられた気持ちです」などコメントを発表しています。【コメント全文掲載】

訴えを起こしているのは、富山市の北陸電気工事に勤めていた当時62歳の男性の遺族です。訴えによりますと、男性は2019年に定年退職後、再雇用され、富山市内で放送局の電気設備工事の現場責任者として勤務していた2021年12月、自宅で出血性の胃潰瘍を発症し亡くなりました。

富山労働基準監督署は2023年5月、男性は長時間労働やストレスで胃潰瘍を発症し亡くなったとして労災認定しています。遺族側は、北陸電気工事が安全配慮義務を怠ったとしておよそ7300万円の損害賠償を求めていて、亡くなる直前1か月の時間外労働は176時間あまりだったと主張しています。

25日に行われた第一回口頭弁論で、会社側は時間外労働は86時間で時間外労働時間の上限を定めたいわゆる「36協定」の範囲内だったと主張。また男性は2008年に胃潰瘍と診断され回復しましたが、それを会社に報告しておらず、出血性胃潰瘍を発症すると予見することはできないため、精神的・肉体的負担をともなう業務に就かせてはならない義務を負担することはなく、賠償責任はないとして請求棄却を求めました。