車が突っ込み建物が破損 そろそろ取り壊そうと思っていた矢先に…

『梅香崎商店』の所有者、三上 政晴さん(74)。
生まれてから高校卒業までこの家で過ごし、今は隣の家に住んでいます。

三上 政晴さん:
「私が気に入っているのは、この“隠し金庫”ですね。これ鍵がついてるんですよ。ここにお金を入れてた」


三上さん(昔の写真を見せながら):
「“済美”って(と書かれた額縁)…そこに飾ってあるでしょう」
住吉:「今もありますね。」

住吉:「お父さんは、この家については何か…?」
三上さん:
「大事にしていましたね。柱なんかには“蜘蛛の巣”も“白アリ”も入ってないんですよ。
“柿渋”(柿を潰して作る防水・防腐剤)を柱に塗って、虫が来ないようにしていました」

1995年の三上商店の映像がNBCに残っていました。
映っているのは、政晴さんの父・英三さんです。

当時のインタビューでは、この家の3代目として愛着を語っていました。

三上 英三さん(当時):
「“アパートを作って(そこに)暮らした方がよか”って、子どもが言うんですけど、私がおる間は、やっぱりここに暮らしたか」
大切にされてきた家でしたが、10年前、ある出来事が起こります。

三上 政晴さん:
「車がまっすぐ家に突っ込んできた。車体の半分は(家の中に)入り込んだですね」

建物の管理の大変さや、ここに住んでいた兄の病気もあり、三上さんは取り壊そうとしましたが、そこに待ったをかけたのが『明生興産』と長崎市の職員でした。

三上 政晴さん:
「私が心を打たれたのがね、“(建物の管理などを)自分にさせてくれ”と、明生興産さんが。
そして市役所が『長崎のために、この地区から観光の風を吹かしたい。その手助けをしてください』と。
こう言われたら、もう引けない(解体できない)ですよね」