なぜオオサンショウウオは海岸で死んでいたのか?
専門家は次のように推測します。
NPO法人日本ハンザキ研究所 岡田純 理事長
「オオサンショウウオの本来の生息域が上流にあって、大水が出て流されたということが一つ。もしくは、そもそもだいぶ海に近いところまで流されていて、堰堤などがあって上流に帰れなかったことが考えられます」
「堰堤」は、河川に造られる建造物で、土砂の流出をせき止め、水害などの自然災害を防ぎます。
繫殖期のオオサンショウウオは川の上流へ遡上しようとしますが、高さのある堰堤を越えられず、下流の方に留まってしまうことが多いのだと言います。
2021年5月に、米子市の日野川下流で撮影された映像。
堰堤を越えられないでいるのか、オオサンショウウオが堰堤近くで泳ぐ姿が確認されました。

そして同じ5月には、漁協の仕掛けに迷い込んだオオサンショウウオも発見されました。
日野川水系漁業協同組合では、遡上できないアユを捕獲し、上流に放流する取り組みを続けていますが、この仕掛けに、堰堤を登ろうと頑張るオオサンショウウオが、まれに迷い込むのだそうです。
オオサンショウウオ専門家の岡田さんは、近年の大雨がもたらす自然災害の発生を防ぐため、河川改修は必要としながらも、オオサンショウウオの保全対策の必要性を指摘します。

NPO法人日本ハンザキ研究所 岡田純 理事長
「堰堤にスロープを付け、魚道などを少しずつでも造っていくことで、オオサンショウウオが自由に行き来できるようになると思います」
これから繁殖の時期を迎え、川の下流でも見かける頻度が増えるオオサンショウウオ。
国の特別天然記念物のため、生きた個体を触ったり捕獲したりすることは禁じられていて、見つけた場合は速やかに市町村に連絡して対応を依頼して欲しいとしています。