中国による水産物禁輸ショックが続いています。きょう東京電力の本店で開かれたのは、国産ホタテなどの販売会。一体なぜ?

ここは百貨店の物産展会場ではなく、東京電力の本店です。そして売り場に立つこちらの男性は、東京電力のトップ・小早川社長。東電は社員向けの販売会で、新たに中国の禁輸の影響を受けている国産ホタテの加工品の特設コーナーを設置したのです。

東京電力HD 小早川智明 社長
「これからも風評に打ち勝つようにしっかりと会社のグループを挙げて風評対策に取り組む」

中国による水産物全面禁輸から3週間。実害が広がっています。

この日、水揚げされていたのは、まるまると太った「クロマグロ」。水産物の養殖と加工を行うこちらの会社では、3年前からクロマグロを中国に輸出してきました。

しかし、注文は7月上旬に突然ストップ。ちょうど中国が放射性物質の全面検査をスタートした時期です。クロマグロは行き場を失いました。

兵殖 中迫猛 社長
「どんどん出荷するはずだったものが余っていくわけで、余った魚をどうするんだとなると、今の時点では手の打ちようがない」

一方、直前の6月、大分県の漁協は中国への輸出拡大を見越し、24億円をかけて養殖ブリの加工工場の建設を始めたばかりでした。7月の中国向けの水産物の輸出額は、去年に比べ23%マイナスと急減しています。

先日、「処理水」を「汚染水」と発言して謝罪し、きょう内閣改造で退任したこの人は…

きょう退任 野村哲郎 農水大臣
「お詫びを申し上げたところですが、この処理水につきましては、私の言い違いで皆さん方にも関心を深めていただいたのだろうと」

政府は、▼中国に禁輸解除を求めるとともに、▼中国以外への輸出拡大を目指す方針ですが、水産業界への影響は広がり続けています。