小海町出身の新海誠監督が、9月14日に閉館する佐久市の映画館を訪れ、学生時代の恋愛話など地元の思い出を語りました。

佐久市の映画館、「佐久アムシネマ」。

佐久地域で唯一の映画館です。


開館から28年にわたって親しまれてきましたが、施設の老朽化などを理由に9月14日に閉館することになりました。

女性:
「近くで来やすかったんですよね」
「非常に残念です」
女性:
「残してほしいというのは一番あります」
「大事な場所でもあったので、すごくさみしいです」

9日、映画館の通路に地元のファンの長い行列ができました。

お目当ては・・・。

舞台あいさつに訪れた小海町出身の新海誠監督です。

2022年11月公開の映画、「すずめの戸締まり」を特別上映し、これまでに何度も訪れてきた映画館で最後のあいさつを行いました。

新海誠監督:
「初めてアムシネマに来てすごく歓迎していただいて、同級生もいるし、親もいるし親戚もいるし、地元の公民館で話しているような温かい気持ちで。それがもう12年前ですか」
「本当にきょうで最後ということで、そう思うととてもさみしいんですけど、同じ作品で2回皆さんの前に立てて幸せです」

高校時代に地元の風景を眺めながら抱いた思いが、作品作りの原点になっていると話します。


新海誠監督:
「今思い返すと窓の外からずっと山の向こうを毎日見ていた。」
「(作品に登場する)ここではない場所に憧れる主人公たちというのは、思い返してみれば、僕が佐久で生まれて育って、山に囲まれていてとても穏やかで美しい場所なんですけど、それだけにその向こう側にはここから見えない山の向こうには何があるんだろうと、ずっと抱いていた気持ちが今こういう映画を作らせてくれているような気がしている」

一方、ファンからの質問では、高校時代に叶わなかったという意外な恋愛話も飛び出しました。


新海誠監督:
「ずっと片思いで好きな子がいたんですけど、その子が僕の同級生の友達と付き合ったことが判明した日があって、その日の夜空の星がすごく眩しかったことを覚えている」

大ヒット映画、「君の名は。」の上映期間には、佐久市民のおよそ半分にあたる4万人以上が佐久アムシネマに訪れるなど、新海監督の作品を中心に親しまれてきた映画館。

新海監督は閉館を惜しみながら、今後は市内のホールなどで特別上映が行えればと話していました。