“自立”を阻害するビジネス「彼らは意欲までも奪ってしまう」
このビジネスを行政はどう考えるのか。アパートがある福生市を取材するとこう回答があった。

福生市
「貧困ビジネスを立証することは難しい。契約書が合法な内容である限り、それをもとに住宅扶助を計上することになる。生活保護の申請権は保証されているため、まず第一に助けるという視点から申請を受けている」
こうしたビジネスが広まる一因には、行政の人手不足があると宇都宮弁護士は指摘する。
宇都宮健児弁護士
「行政の対応の弱さ『行政・政治の貧困』が背景にあるんじゃないかと思う。福祉事務所でこういう貧困問題に取り組むケースワーカーが配置されてる。ところが実際、ケースワーカー1人当たり、どのくらい担当しているかというと、100世帯を超える生活保護利用者を担当しているケースが多いので。貧困の格差がこれだけ広がってるので、貧困や格差問題にちゃんと取り組む体制・予算付けをやるべきですよね」

社団法人に免許証などを預けさせられ、福生市のアパートを逃げ出した男性。その後、別の自治体に転居し、再スタートをきっていた。
学習塾の講師だった経験を活かして、教育支援を行う団体で働いている。
男性
「貧困や家庭環境の問題を抱える児童に、学習を教えたり。心を強くする方法を教えたり。仕事がすごいやりがいあるから生き生きするし、精神的ストレスが全くないので安心ですね」
この日は初めての給料日。反貧困ネットワークの林弁護士に電話で報告した。

男性
「おかげさまで6月4日に今の社会福祉法人に雇用されまして、今日、初給料ってことで、無事に社会人に戻れましたので、とても感謝してます」
自立に向かって歩みを進める男性。生活保護受給者で住宅を穴埋めし転売する不動産ビジネスについて、こう振り返った。
男性
「生活保護から抜け出せるかもしれない人まで、生活保護にとどめてしまってんだよね、彼らは。そういう(自立)意欲までも奪ってしまう。もう一回社会に戻ろうとしてる意気込みとかまで奪っちゃうよね」