福島第一原発の処理水の海洋放出を理由に中国が日本産の水産物の輸入を全面的に停止した影響について、岩手県宮古市の水産加工会社に聞きました。

宮古市や北海道の8か所の工場でイクラやホタテの加工品を製造する「川秀(かわしゅう)」です。川端秀典社長は、中国が日本産の水産物の輸入停止を発表するより前にすでに影響が出ていたと話します。

(川秀 川端秀典社長)
「5月、6月くらいに東電の方でALPS水流すという段階で、注文が入っていた海外のメーカーさん、問屋さんのキャンセルがありましたよね。数千万円単位のキャンセルでした」

岩手県とジェトロ岩手が2021年に行った県内企業へのアンケート調査で、県内から中国へ向けた水産物の輸出額は2億8000万円あまりとされています。しかしアンケートに回答しなかった企業もあり、輸入停止による影響の全体像はつかみ切れていないのが現状です。川秀は原発事故の直後に起きた風評被害で取引先を失い、新たな販路開拓の経営努力を重ねてきました。

(川端秀典社長)
「(新たな販路や中国に変わる輸出国といった努力は?)常に考えています。常に。今回のようなつらい部分が出てくるのは当然ですからそれを乗り越えていかないと事業が成り立たないし。それに関しては頑張っていくしかないと思っています」

政府は、風評被害が出た場合の補填などについて近く対策を公表するとしています。