「日本の夏の食べもの」と言えば鰻丼や蒲焼きなど鰻料理ですが、ウナギを食べるのは日本人だけではありません。

実は、世界最古のウナギの養殖場はオーストラリアで作られました。しかも6600年前!日本がまだ縄文時代だった頃です。

ウナギの養殖場が世界遺産に!?

その養殖場は、2019年に「バジ・ビムの文化的景観」という世界遺産になりました。

世界遺産入りが決まったユネスコの世界遺産委員会(新しい世界遺産を決めるため各国が参加・審議する国際会議)を傍聴していたのですが、「ウナギの養殖場が世界遺産になるのか!?」とビックリし、すぐに番組「世界遺産」で取り上げようと決めました。

しかしコロナ禍のため延期が続き・・・今年ようやく撮影に行くことができました。

バジ・ビムの溶岩の大地

バジ・ビムは、オーストラリアの南東部、湖や川や湿地帯が広がる地域です。養殖場があるのはコンダー湖という大きな湖。

一見すると、人の手が入っていない自然のままの風景なのですが、よく見ると水の流れをコントロールする石組みの堰(せき)が各所にあり、人工と分かる水路も残っています。

このウナギ養殖場を作ったのは、グンディッジマラ族というオーストラリアの先住民。

ウナギの養殖は200年ほど前までは実際に行われていたのですが、ヨーロッパ人の入植によって途絶えてしまい、養殖に関連する建造物が遺跡として残っているのです。

現在確認されているだけでも人工の堰や池が150以上も残り、長さ180メートルもある水路跡も見つかっています。その養殖の仕組みは巧みでした。

1800mあった水路の跡