■「誹謗中傷」と「言論の自由」 木村花さんの母は・・・


改正のきっかけとなったのが、プロレスラーの木村花さん。2年前、自身が出演していたテレビ番組での行動などについて、SNSで誹謗中傷を受け、自ら命を絶ちました。

成立を受け木村さんの母・響子さんは・・・


木村花さんの母・響子さん
「私の中では本当にやっとという思いが強いんですけど、これはとても早いほうなんだよということもお聞きしておりまして」
「ここをスタートとして『これが犯罪なんだよ』とまずは知ってもらう。そこから細やかな法整備への道が繋がってくるんじゃないかととても期待しています」

花さんの顔写真がプリントされたTシャツを着て、会見に臨んだ響子さん。花さんが亡くなったあと、署名集めや国会などで厳罰化を訴えてきました。


木村花さんの母・響子さん
「SNSは拡散力も強いし速い。侮辱罪厳罰化の署名を集めたいと言ったときの拡散力はありがたいものだった」
「使う人が優しい気持ちで、優しい言葉を使うことで、優しさのスパイラルが生まれるんじゃないかと思う。今はヘイトのスパイラルが強くなってしまっているのがとても残念」

今回の改正で、侮辱罪の公訴時効も▼1年から3年に延長されますが、捜査幹部は・・・


警視庁捜査幹部
「時効が1年だったらできなかったものが、3年になったらできるかもしれない。そういう意味で立件できる余地は広まる」

一方で、厳罰化をめぐっては、「表現や言論の自由が脅かされるのでは」との指摘も上がっていました。


木村花さんの母・響子さん
「誹謗中傷される人は自分らしく生きる権利を既に侵害されている。言論の自由は何を言っても許される権利ではなく、他者の人権を侵害しないように配慮しながら使うべきものだと思う」
「誹謗中傷は言論の自由の中に組み込まれるべきではない」

■侮辱罪と名誉毀損罪、何が違う?


国山ハセンキャスター:
映像にもありました“侮辱罪の厳罰化”と似たような罪で、名誉毀損罪というものがあります。

小川彩佳キャスター:
侮辱罪と名誉毀損罪。どう違うのか、わかりづらいですよね?


国山キャスター:
それぞれ見ていきましょう。
例えば、『○○さんは会社のお金を横領している』といった誹謗中傷は、▼具体的な事例を提示しているため、名誉毀損罪に当たる可能性があります。
一方、侮辱罪は▼具体的な事例を示さなくても、『死ね』『きもい』といった言葉だけでも処罰の対象となります。

小川キャスター:
具体的な事例があるかどうかがこの二つの罪を分けるポイントですね。

国山キャスター:
そこが一つのポイントとなります。
一方、侮辱罪の厳罰化を巡って国会では、『政治家への正当な批判を萎縮させる』などとして、憲法が保障する表現の自由が脅かされる恐れがあるという懸念の声が上がりました。
そのため附則には、「施行から3年後に表現の自由を制約していないかどうか検証する」ことが盛り込まれているということです。

小川キャスター:
運用の慎重さは必要になりますが、改正刑法成立ということになります。