中国政府はなぜ放置?北京から報告

小川彩佳キャスター:
北京の立山支局長と繋ぎます。中国政府はなぜこうした迷惑電話などの行為をやめさせないのでしょうか?
立山芽以子記者:
中国政府はこれまで日本のことを散々批判していますから、それに同調する国民を止めることは、自分の主張を否定することになってしまうからだと思います。
中国では、政府に不都合なSNSの書き込みはすぐに削除されてしまうので、日本を批判する投稿が削除されないのは、政府が事実上黙認してるからだと思います。

一方で塩の買いだめについては、中国社会の不安定化に繋がるので、すぐさま買いだめしないよう呼びかけるなど、沈静化に向けて素早く動いている印象があります。
小川キャスター:
後を絶たない迷惑電話というのは、どんな人たちがかけているのでしょうか?
立山記者:
私たちは実際にかけた何人かに話を聞いてみました。男の人も女の人もいますし、年齢は若い人が多い印象です。軽い気持ちでやっているようで、あなたがやっていることは犯罪だと問いただすと、悪気はなかったんだと言い訳する人もいました。

小川キャスター:
こうした大量の迷惑電話をかけるという行為は中国では常套手段なのか、それとも異例のことなんでしょうか?
立山記者:
中国経験が長い人に聞いてみますと、聞いたことがないという人が多かった印象です。
小川キャスター:
国民の反応はどうなんでしょうか?
立山記者:
残念ながら、迷惑電話をかけたり、石を投げたりする人がいるのは事実だと思います。それは政府が国営メディアを使って、処理水の危険性を煽っているので、それを信じてしまう国民がいるのは仕方がないことだと思います。しかし、中国全体が反日一色に染まっているかというと、そうでもありません。SNS上でも冷静な意見が目立つようになっています。
例えば迷惑電話をかける動画ですが、12万件のいいねがついている一方で、コメント欄には「とても失礼だ」「ここまでする必要はない」「理性的になるべきだ」など批判するコメントが並んでいます。
またSNSの検索ランキングでも、24日の放出開始当初は、処理水の話題が上位を占めていましたが、今は上位10件には入っていません。少し沈静化してる印象ですが、このまま収まると思っていない政府関係者は多く、何かのきっかけで大規模な抗議運動が発生するのではと心配する声も聞かれています。