福島第一原発の処理水の海洋放出が始まって以降、中国からとみられる迷惑電話が国内の公共施設や観光施設などに相次いでいます。岩手県内では久慈市の水族館に処理水の放出を批判する内容の迷惑電話がありました。

岩手・久慈市の水族館「もぐらんぴあ」


迷惑電話があったのは、久慈市侍浜町の水族館「もぐらんぴあ」です。宇部たみ子専務が電話を受けたのは26日の午後5時半すぎのことでした。

(もぐらんぴあ 宇部たみ子専務)
「見慣れない番号だと思いながら電話に出たが、最初は無音みたいで、もしもしと言っても無音で、ガチャガチャと音がしたので『もしもしもぐらんぴあです』と言ったら、ガチャガチャと音がして再生するような音が」

相手から「モシモシ」と片言の日本語で返事があり、録音したものとみられる日本語の音声が大音量で再生されたといいます。

(宇部たみ子専務)
「『あなたたちはどうして汚染水を流すの』とか『あなたたちはバカなの』と
言われ、いたずらだと思い(電話を)切ったんですよね」

施設には26日午後2時ごろにも無言電話が1件あったほか、25日の午前11時すぎにも電話があり、同様に「なぜ処理水で海を汚すのか」という内容の音声が流れました。


発信元はいずれも中国の国番号を表す「86」で始まる番号でした。「もぐらんぴあ」を訪れた客も戸惑いの表情を浮かべていました。

(来館者)
「色んな抗議の意味なんでしょうけど、理解しがたいところがありますね」
「国が決めたことなので一施設に電話をするというのは違うのかなと思いますけどね」

26日以降、迷惑電話はかかってきていませんが、もぐらんぴあは警察と市に相談したほか、「業務の妨げ、または来館されるお客様のご迷惑になるため今後は一切対応しない」としています。

(宇部専務)
「福島とか三陸の人たちの気持ちを考えてほしいなと思う。電話する分の労力があったら違うところに使ってほしいなと思いますね」


28日正午までに岩手県警にはもぐらんぴあを含め迷惑電話の相談が3件寄せられているということです。