「“客観的”という言葉は大嫌い、中立は卑怯者だよ」
金平キャスター
「今日6月23日は沖縄慰霊の日ですけれども、いつもの年だと、摩文仁の丘の会場にいるんですけれども、今日は石垣島の八重山戦争マラリア犠牲者慰霊の碑の前に来ています」
「南西諸島の前線基地化が進んでいるなかで、いつものように糸満市摩文仁の戦没者追悼式典を取材することに、僕は違和感を覚えていた。それは、南西諸島が、すでに『戦時下』に入っているのではないか、という思いがあったからだ」
真生さんが訪ねたのは、石垣島の「いのちと暮らしを守るオバーたちの会」などが中心になって開催した手作りの慰霊式典だ。会のリーダー85歳の山里節子さんに、真生さんは心底、惚れ込んでいる。

山里節子さん
「集団疎開しなきゃいけないということで、通知があって、あそこはマラリアの生息地で、恐れられていた場所。行ったらもうみんなバタバタ倒れて、わたしも行って3日もたたずにマラリアに罹患して」(2022年12月)
石垣島のこの公民館では、戦争のさなか、日本軍の命令によって密林に強制疎開させられ、マラリアにかかって犠牲になった約3600人の沖縄の人々を悼むイベントが開かれていた。歌や踊りが飛び出す楽しい集いになっていた。

沖縄民謡を聞いていた真生さんは、いつのまにかカメラ撮影を忘れて踊り出す。大好きな山里節子さんを撮る時の真生さんの表情は特別だ。
金平キャスター
「真生さんの写真って近すぎて、場合によっては相手の中に入っちゃうみたいな、あるいは相手から入られちゃうみたいなところで写真撮ってるでしょ。それは、何と言うんだろうな…テレビの仕事も画とかってあるから、距離とかいつも考えるんですよ」

石川真生さん
「ああ、わたし考えない。『客観的』っていう言葉ほど大嫌いな言葉はない。そんなのないのによ、みんな勘違いしてる。みんな主観で撮ればいいんだよ」
金平キャスター
「客観・公正・中立」

石川真生さん
「“中立”って言うのも卑怯者だよ。どこにもつかないでって言う冷たい言い方だよな。だから右向いて左向いて物言わない沖縄人の典型。わかったあ?」


金平キャスター
「わかんないけど。写真見たらあの距離、撮られる人と撮る人の距離が全然違うなっていうのが、写真から伝わってくる気がするけど。それでも俺はわかんないです。わかんない」
石川真生さん
「マスコミだから。やっぱりそれぞれの体質ができてるから。私の体質、そっちの体質、それはしようがないよ」














