甲府空襲とその後の復興をテーマにした座談会が甲府市で開かれました。

講演したのは甲府市中心街の移り変わりを見てきた80代の2人の男性です。

井上雅雄さん:
「屋根に焼夷弾が貫通している。(建物の中に)逃げ込まなくてよかった。逃げ込めばおしまい」

座談会は戦前戦後の様子を大勢の人に知ってもらおうと甲府市の教育委員会が開きました。

会場の藤村記念館では甲府市で生まれ育った井上雅雄さん(89)と渡辺英祐さん(83)が甲府空襲で壊滅的な被害を負った中心街の様子や、戦後の賑わいについて語りました。

渡辺英祐さん:
「B29は大きい。爆音がいまだに頭の中にこびりついている。腹に響くような大きな音をたてて焼夷弾を落としてくる。落ちてくる時から燃えている。赤い火の雨が降ってくる状態の中を逃げた」

井上さんは甲府空襲の1か月前、アメリカ軍から「早く降伏しろ」というビラが大量にまかれた記憶を伝えました。

一方、戦後からの復興を遂げた昭和30年代ごろ、甲府市の若松町は芸者街としてにぎわったことや、今も続くえびす講まつりには市の内外から大勢の人が訪れたこと。

それに市内には映画館がたくさんあったことなどを振り返りました。

参加者は:
「にぎわっていた。 今は少し寂しいが」
「こんな風に栄えていたと聞くことができて、思いをはせられて勉強になった」

2人は今後も中心街の賑わいづくりを続けてほしいと期待を寄せました。