■第19回世界陸上競技選手権大会 最終日(日本時間27日、ハンガリー・ブダペスト)
世界陸上は大会最終日を迎え、男子マラソンで初出場の山下一貴(26、三菱重工)が2時間11分19秒の12位でフィニッシュ。終盤の追い上げでメダルまであと一歩の快走をみせたが、両足がけいれんするアクシデントに見舞われ、惜しくも入賞には届かなった。
其田健也(30、JR 東日本)は2時間16分40秒の35位、西山和弥(24、トヨタ自動車 )は2時間17分41秒の42位だった。
レース前にはスタッフと共に円陣を組んで臨んだ山下、其田、西山の日本勢3選手。現地時間は午前7時、気温は24℃、湿度は70%に加え、昨日の女子マラソンの状況と異なりやや風が強い気象状態となった。
スタートから、世界陸上11回目の出場で日本の新日本住設に所属しているS.バトオチル(41、モンゴル)が飛び出したが、日本選手3人は2番手集団の中に3人並んでペースを掴んでいた。
給水ポイントでは先頭集団がボトルを取ると国が異なる者同士がボトルを回して水分を補給。徐々に気温が高くなってきた。
レース前の会見では「自分は人より発汗量が多いので涼しいところは大丈夫だと思うんですけど、後半暑くなってきたあたりのことも考えて」と話していた西山が5キロ付近で直射日光を避けるために帽子を被ってのレース。
10キロ付近の給水ポイントでは日本勢3人はしっかりとスペシャルドリンクを取って冷静にトップ集団の後方につけた。給水が終わった瞬間からペースがアップしてもそれについていった。
15キロ付近で山下は約30人の先頭集団後方についていったが、西山、其田が徐々に遅れ始めた。其田は「行くところ、引くところをしっかり判断してケニア勢についていきたい」とレース前に話していたが、18キロ付近で西山、其田は先頭集団から約40秒の差が付いた。
「暑さに関しては特に苦手意識もないのでそんなに気にしてないです」と話していた山下が20キロ付近でトップに立ちレースを引っ張る展開。入れ替わり立ち代わり先頭が変わるレース展開で25キロ付近では先頭集団は約20人となった。
28キロ付近で気温は32℃に上昇、先頭集団のふるい落としが始まり、V.キプランガト(23、ウガンダ)がペースを上げると集団が崩れた。ウガンダ、エチオピアのアフリカ勢がついていき、山下もしっかり対応して、先頭集団が10人に絞られる。すると今度は30キロ付近で山下が先頭に立ち、アフリカ勢との駆け引きに出た。アフリカ勢が飛び出すと山下がリズムを変えず後方に下がった。
残り10キロ、先頭はV.キプランガト、T.トラ(32、エチオピア)L.ゲブレシラセ(30、エチオピア)の3人が抜け出した。山下は約30秒差でトップを追った。
離されても山下は落ち着いた走りで34キロ付近で1人抜き7位集団に。T.ラマコンゴアナ(26、レソト)と並走しながらいいリズムを刻み、38キロ付近で1人抜き、6位集団へ、3位までは23秒差に迫った。ラマコンゴアナには離されてしまったが37キロ付近でもスピードが落ちず1人抜いて6位。さらに前回オレゴン大会の金メダリスト、T.トラを抜いて5位まで順位を上げた。
しかし、40キロを過ぎたところで左足がけいれんをおこし立ち止まってしまった。その後もスピードには乗れず、後続に抜かれ7位。ゴール直前で今度は右足がけいれん。満身創痍の状態でも痛む足で約2.195キロを走り切り2時間11分19秒の12位でゴールした。
レース後、山下は「申し訳ないですね。入賞出来たと思ったんですけどね、なかなか難しいですね」と声を詰まらせ「左足のふくらはぎがつってしまってそのあとそれ気にしながら走っていたら右足もつってきて、いろんなところつり出しちゃって」と厳しいレース展開を振りかえった。それでも最後は「また帰ってきます。次はメダルを目指して頑張りたいと思います」と笑顔で前を向いた。
【男子マラソン結果】
金メダル V.キプランガト(ウガンダ)2時間8分53秒
銀メダル M.テフェリ(イスラエル)2時間9分12秒
銅メダル L.ゲブレシラセ(エチオピア)2時間9分19秒
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12位 山下一貴 2時間11分19秒
35位 其田健也 2時間16分40秒
42位 西山和弥 2時間17分41秒