アフガニスタンでイスラム主義組織タリバンが実権を掌握してから2年。

外国とつながりのあった人たちは、タリバンから迫害されることを恐れ次々と国外へと逃れていった。日本へ退避した人も800人を超えている。

彼らがどのような生活をしているのか取材するため、日本大使館の元現地職員で、2022年8月に難民認定された男性を訪ねた。

すると「もう日本では暮らしていけない」と言う。どういうことなのだろうか。 

『いつアフガニスタンに帰るのか』

在アフガン日本大使館 元現地職員 アフマドさん(仮名)
「成田に着いた時、幸福感と希望がありました。少なくとも日本では安全だった。娘たちに教育を受けさせることもできるかもしれない、と思いました」

取材に応じるアフマドさん(仮名)

関東で妻や子どもと共に暮らす50代のアフマドさん(仮名)。

長年、日本大使館の現地職員として、外交官の安全を確保する業務などに従事していた。自爆テロが相次ぐアフガニスタンで、海外の外交官を守る仕事に誇りも感じていた。

タリバンの復権から約2か月後、日本政府の支援を受けカタール経由で家族とともに退避した。その後数か月間、政府が用意した都内の宿舎に滞在していたが、ある時、宿舎を訪れた外務省の担当者にこんな言葉をかけられたという。

『日本での生活は地獄になる』
『あなたはいつアフガニスタンに帰るのか』


日本の支援を受けて退避したのに、なぜこのタイミングで帰国を迫られるのか。

外務省に取材すると、本人が希望していないのに帰国を促した事実はないと否定した。ただ、アフマドさんはたびたびこうした言葉をかけられたと話す。

2022年8月、外務省との雇用契約が切れる直前に難民認定を受けた。しかし、その後の生活は想像からかけ離れたものだった。