「子どものため」が逆効果…親子で追い詰められ泣いた日々
もっちんが登校を渋っている頃の今さんの心情を表すこんなセリフがマンガにある。

『私の中に…寄り添う母「無理しないで」と悪魔「学校行けよ」が同居していた…』
学校に行きたくないと訴える子どもを見ても、今さんは学校を諦められなかったという。背景にあったのは、不登校になってわかった周囲の視線だ。
ーー今さんはもともとは学校だけが学びの場と感じていたわけではないそうですね。
「学校は素晴らしい、絶対行った方がいいと思うタイプの親ではなかったんです。いろんな選択肢があると思っていました。でも、いざ我が子ってなると、行かせなきゃって思って」
ーーそれはなぜだと思いますか?
「やっぱり、社会全体が『行けるようになるといいね』という声かけが基本でした。『行けてないんだ』『大変だね』『かわいそう』という視線に、あ、そうなんだ、学校に行っていないのは駄目なんだ、自分が頑張って行かせなきゃいけないんだ、って思い込んでしまったんだと思います」

世間の目、無理解、憐み、自己否定…。今さんはどんどん追い込まれていったという。そんな母親の様子に、もっちんは敏感に反応する。自分が学校に行けないから、お母さんが困っていると感じ、親にも「学校に行きたくない」という本音を言わなくなっていった。自分の感情を押し殺して学校に通う日々は、もっちんの状態も悪化させていった。
ーー今さんが学校に行かせようとすると、もっちんの様子はどうなっていったんですか?
「家ですごく泣くようになったんです。食も細くなりました。あと、カーテンがちょっと開いてるだけで怖がるとか、些細なことに恐怖心が増しました。でも、自分も精神状態がおかしかったので、気付けないんです。すごく視野が狭くなっちゃうんです。当事者になって、パニックに入ってるときって…」

追い込まれていった親子。しかし、そんなパニックから抜け出す転換点を迎える。それは、今さんに下されたある診断だった。