49年にわたって沖縄に生きる人々を写真に撮り続けてきた、石川真生さんの写真展が那覇市で開かれています。
『沖縄の苦難の場面』を描いてきた写真家の新作とは
石川真生さん
「ヘッドマイクは本当はやりたくないんだよ。なんでって言ったら、せっかくこのまえ美粧院に行って、きれいにしてきて、髪の毛をほわっとさせてるわけ。それがぺっちゃんこなるじゃん。いやだよ、私のビューティーウーマンとしては」
来場者に軽快なトークで場を和ませる写真家の石川真生さん。
49年にわたって沖縄に生きる人々を撮り続けて、その代表作ともいえるシリーズ作品「大琉球写真絵巻」の新作が、那覇市で公開されています。

これまでのシリーズでは、薩摩藩の琉球侵攻から続く『沖縄の苦難の場面』を創作写真として撮影し、怒りとブラックジョークを交えて表現してきました。
しかし、10回目となる今年は…
写真家 石川真生さん
「石垣島に自衛隊が上陸するっていうことを聞いて、居ても立っても居られなくて、飛びました。そしたら、港がワサワサ、ワサワサーしてからよ、もうみんながにらみ合いしてるわけ」

石垣島に自衛隊の車両が運びこまれた日の状況など『創作写真』ではなく、今、実際に起きていることにシャッターを切り続けた写真が大半を占めました。
なかでも真生さんが強く心をひかれたのが、自衛隊の石垣駐屯地からほど近い集落で、パイナップル農園を営む當銘さん一家です。
写真家 石川真生さん
「めったに自動車も通らないみたいなところだよ。それが今度行ってみたわけ。緊急にぱっと行ったら、道路工事はしてるしさ、なんか自衛隊車両はパタパタって走ってるしさ、様変わりしてるわけよ」
戦前、祖父や父が苦労して開拓した土地で、家族とともに農業を続けたいと願う女性の声を伝えます。

写真家 石川真生さん
「自衛隊よりも軍隊よりも自分たちの方が先にこっちに来てるんだと。何で後から来た軍隊にね、自分たちがね、追い出されないといけないんだと。自分は絶対この土地を離れないって」
「ちっちゃい島じゃ、右見て左向いてさ、何も言わない人もいっぱいいるよ。そんな中でね。さらに田舎の島のお母さんがさ、そんなこと言ったっていうのはね、よっぽどワジって(怒って)いるわけよ」
今回の写真36点による全長60メートルの写真絵巻は、がんの闘病を続けてきた真生さんが、体力の限界に抗いながら、現場に通い続け表現したものです。
写真家 石川真生さん
「あとどのぐらい続くか毎回、最近はもう自分がカウントダウンしてるんだけれど、数を数えてるんだけど、後悔がないように」
この作品展は、那覇市民ギャラリーで今月27日(日)までで、期間中は、毎日午後2時から、石川真生さんのギャラリートークが予定されています。