保護者の所得など家庭の経済状況によって、子どもたちの習いごとなど、成長過程の経験に差が出てしまうことを表わす「体験格差」という言葉があります。スポーツの経験もその1つ。
来週末沖縄で開幕するバスケットボールW杯をきっかけに、スポーツを通して沖縄の「体験格差」解消を目指す取り組みを始めた団体、ArchtoHoop(アーチトゥフープ)の活動を取材しました。
様々な環境の子どもたちに非日常体験を W杯通じてできる体験は
沖縄で間近に迫った、バスケットボールワールドカップ。沖縄アリーナで開かれた開幕1か月前を記念した特別イベントには、スポーツで子どもたちの体験格差をなくそうと取り組む、新たな団体が参加していました。
「盛り上げを支えるスタッフとして、今日やりますっていうところで。外からもしっかり盛り上げに貢献できるよう、みんなで頑張っていきましょう!今日はよろしくお願いします」

貧困率が高い沖縄で、経済的な理由による子どもの体験格差を解消しようと、この7月から新たに活動をスタートした『アーチトゥフープ』。
実際の大会で、ボールの提供などを行う株式会社モルテンが主体となって、様々な環境の子供たちに非日常体験を味わってもらう取り組みを行っています。
1か月前イベントを翌日に控えた、この日。直前のミーティングに参加していたのは、社会から孤立する子どもたちの自立支援を行う『ちゅらゆい』や、学生たちのセーフティネットに取り組む『エンカレッジ』。子どもの居場所作りを行っている『ももやま子ども食堂』など児童福祉施設のスタッフたち。
さまざまな課題を抱える子供たちにも、普段は叶わない体験をしてもらおうと様々な企画を考案していました。

アーチトゥフープ事務局 勝田駿平さん
「スポーツの社会的意義を福祉の領域に、どう貢献できるかっていう部分でチャレンジしたいなと思ったので、課題を抱えている子どもたちにいきなり向き合うのはすごくハードルはあるけど、こういうバスケのイベントとか、コートがある、あと少しお祭りみたいな雰囲気があるところに入ることによって、交流できるっていう『アーチトゥフープ』がすごく貢献できる領域だと思っています」
当日、集まったメンバーがまず行ったのはバスケットコートの設営。誰でも遊べる環境を提供しようと、声をかけあい、みんなで協力してコートを作っていきます。
女の子
「みんな協力的だし楽しいし、めっちゃいいです」
男の子
「全部の列やった。友達も出来て、一緒にコートで遊びたいなと思っている」
ちゅらゆい 平林勇太さん
「不登校の子どもたちも多くいるので、学校行事に代わるようなことを、居場所同士で出来るというのは非常に交流につながると思いますし、ぜひ今後とも続けていけたら楽しい企画になるんじゃないかなと思っています」
その後は、自分たちで作ったコートで、手作りのバスケット大会を行うなどイベントを思い切り楽しんだ子どもたち。仲間と力を合わせる喜びや、スポ―ツを通して大きなイベントを運営する達成感。
今いる環境に左右されず、非日常を味わう体験はSDGsの目標にもつながっています。
子どもたち
「色々な事業所とかが集まって、こういうイベントとかできるのはいいなと思うので、もっとこういうイベントを増やしてほしいなと思います」
「今後も参加したいですね」
中学生
「自分たちは祭りとか行くときに、その祭りの今しか見られないけど、作る前とか、どんな大変さがあるかとかはなかなか体験できないので、それは1番いいと思います」

アーチトゥフープ事務局 勝田駿平さん
「初めての人と友達になれる場っていう、交流っていう切り口でもすごくいい場だったかなと子どもたちの表情を見ながら思いました。一つの成功体験を味わえる場を一緒に企画からやってきたっていうところは本当にやってきて良かったなと思っています」
スポーツを通して誰でも未来を描ける社会に。子どもたちの体験格差の解消を目指して、アーチトゥフープは今後も取り組みを続けていきます。