観光客急増で「オーバーツーリズム」に


期待が高まる一方、不安の声も。
まず、観光地やホテルなど、受け入れる側の体制や、人員の確保の問題があります。

鳥海氏:
(人員については)2つありまして、日本人の働き手が足りないということがひとつ。
もうひとつは日本国内で働く外国人の人材の不足です。
例えば中国人留学生などが日本の学校で勉強して観光業で働く。これがコロナ禍で止まってしまったというのがあります。

さらに、『オーバーツーリズム』の問題も。

『オーバーツーリズム』とは、観光客の急増で住民の生活に悪影響を及ぼすことです。

▼車道で写真撮影などマナー・ルールの問題
▼ごみのポイ捨て・騒音
▼住民がバスやタクシーを利用できない

ホテル料金がアップしてしまう可能性もあります。日本人が日本で旅行するときに予約がなかなか取りにくい、ということもあり得ます。

「インバウンド価格の導入」鳥海氏の考える対策は

『オーバーツーリズム』への対策について鳥海氏は、
▼ビザ発給数の制限
▼インバウンド価格の導入

の2点を挙げています。

ーービザの発給の制限について
鳥海氏:

やはり混乱が日本国内で起こっている状況であれば、飛行機の便数を制限するか、ビザの発給を制限する。
東南アジアや、あと中国もですけど、緩やかに伸ばしていく感じ。一気に入らないような形で、日本の受け入れ態勢を整えるペースに合わせる。
これは春の教訓で、桜の時期に、中国人観光客がいないのに大幅に増えたというのがあるので。

ーーインバウンド価格の導入について
鳥海氏:

ディズニーリゾートやUSJの入場料が1万円を超えるというのがニュースになっています。
でもドル換算すると、60ドル、70ドルぐらいなんですね。
そうすると、海外だともうテーマパークは120ドル150ドルが普通なので、激安なわけですよ。だけど日本からすると1万円はものすごく高いわけです。
本当は発展途上国でやる傾向なんですけど、やっぱり所得水準にちょっと今格差が出ちゃってるので、日本在住者とインバウンドで料金を変えて、もう日本人は7000円ぐらいにして、インバウンドは1万2000円とかにすると。
それでしっかり日本国内の経済を回して給料を上げて、所得が上がれば同じ料金に戻せばいいという。
そこまでしていかないといけない時期に来ていると思います。

弁護士 八代英輝:
空港スタッフも特に地方は足りなくて、今言われているのが空港スタッフは憧れを持って業界に入ってくる人が多くて、4月から始めて一気に離職率が増えていくんですよ。激務なんですよね。
それから今、これだけ暑いのに、タクシーの数が圧倒的に少なくない。人手が少ないですよね。

恵俊彰:
週末、鹿児島に行ったんですけど、本当にタクシーがいなくて。聞いたら運転手さんが少ないんですって。車はあるけど。だから“流し”をやらないって。

鳥海氏:
2019年までのオーバーツーリズムと、今のオーバーツーリズムの一番の違いは、タクシーが全くつかまらなくなったことです。昔は人が多くても、バスは混んでもタクシーはつかまったけど、もう地方でも夜は特につかまらないですよね。

中国の日本への団体旅行解禁について、岸田首相は
「中国からのインバウンドの回復が今後さらに進むことを期待している。
我が国の観光の持続可能な形での復活を目指していきたい」

としています。

恵俊彰:
鳥海さんが言ったみたいに、バランスよく、一気にじゃなくて徐々に増やしながら体制を整えることが必要かもしれないですね。

(ひるおび 2023年8月14日放送より)