祈りの日に繰り広げられたマイク演説…。8時15分には黙とうを捧げるため演説はいったん止んだものの、その後は、演説を再開。互いに歩み寄ることなく、式典中も続きました。
それぞれの主張をぶつける団体、それを「静かに祈ろう」と無言の抗議を続ける団体…。広島では、「原爆の日」をいかに過ごすべきか、議論が続いています。
広島市によりますと、8月6日に合わせて原爆ドーム周辺にデモ団体が集まり始めたのは、およそ15年ほど前だということです。反戦反核を訴えるデモ行進の出発場所が原爆ドーム前になり、そこに反対する意見を持つ団体も集まるように…。
この場所は、平和公園の一角にあるため、拡声器を通した声は式典会場でも聞こえるようになりました。市には対応を求める声が寄せられ、市議会は2019年に具体的な検討を開始。去年6月に平和記念式典を「市民等の理解と協力の下に、厳粛の中で行うものとする」と定める平和推進基本条例が施行されました。罰則を伴わない、いわゆる「理念条例」で表現の自由を阻害しないよう、市は当事者らとの話し合いによって解決法を探ってきました。
6日、市は式典参列者に対してアンケート調査を実施しました。内容は「式典中に拡声器の声が聞こえたか」「拡声器の音量を下げるよう団体に要請することは適切か」など騒音に関するものです。

アンケートは、2019年から実施されています。去年、実施され、市議会に提出された資料によりますと、全体の回答者数1251人(配布数2020)のうち、約91%が式典中に拡声器の音が「聞こえた」と回答。そのうち約66%が拡声器の音が「式典への悪影響がある」と答えていました。
一方で音量への対応については「要請や話し合いを続けるべき」(約43%)という意見が、「規制するための措置を講ずるべき」(約33%)という意見を上回っていました。
毎年、繰り返されるこの問題…。ことし、実施されたアンケート結果は、9月に市議会に報告された後、それぞれの団体にも提示されるということです。
市は、今後も条例の理念に則って「市民等の理解と協力の下に、厳粛の中で行うため、団体に対して働きかけをしていきたい」としています。














