国立ハンセン病療養所長島愛生園で、今年4月に開館した宿泊研修施設「むつみ交流館」です。夏休みを迎え、子どもたちが「ハンセン病差別の歴史を学ぼう」と、研修に訪れています。

(長島愛生園 山本典良園長)
「皆さんのおじいさんおばあさん、4人いますよね。4人のうちの1人がハンセン病だったら、皆さんはここにいないんですよ。ダメでしょ、そんなことは。でもそれが許されていたんですね」

ハンセン病患者の苦難の歴史に耳を傾けるのは、兵庫県西宮市の中高生38人です。かつての病棟を改修し、この春に長島愛生園に開館した宿泊研修施設「むつみ交流館」にやってきました。


多くの患者が強制隔離された、負の歴史を学ぶ生徒たち。長島に収容される際に使われた桟橋や、古里の墓に入ることができなかった人々が眠る納骨堂も見学しました。

(長島愛生園歴史館学芸員 田村朋久さん)
「そもそも『なぜ療養所に納骨堂が必要なのか?』入所なさった方はもちろん、そのご家族へも大変な差別の目が及んでいた。そんな状況の中で、自分の身内の遺骨を引き取りに来ることができるのか?これはなかなか難しいんですね」

新型コロナの感染拡大で、感染症と差別が再び問題となった今だからこそ、同じ過ちを繰り返さないためにはどうすればいいのか。それぞれに思いを巡らせていました。

(研修に参加した中学3年生)
「偏見と実際のこととの違い。正しい情報を知って、いろんな人に伝えていくことが大事だなと思いました」

(研修に参加した中学3年生)
「『差別があったんだ』ということを聞いて、コロナのときにその教訓を生かせなかったので、そういった偏見もなくしていきたい」


当時を知る入所者が減っていく中、この夏、多くの子どもたちが長島で未来に受け継ぐべき歴史を学んでいます。
むつみ交流館での宿泊研修は、学校や団体のみ(10人以上)で受け付けています。