記録的な大雨で被害を受けた場所では、復旧工事が進んでいるところがあれば、まだ目途すら立っていないところもあります。明暗が分かれている、2つの現場を取材しました。

去年8月3日から4日にかけて置賜地方を中心に県内を襲った記録的な大雨。線状降水帯が発生したほか、県内に初めて、大雨特別警報が出されました。特に深刻な被害を受けたのが、飯豊町です。

「橋が全て崩落しています。この影響で、走行中だった車一台が転落し、流されたということです。」(我妻優記者)

小白川にかかる全長およそ24メートルの大巻橋が崩落しました。現在は、仮橋が設置されていて、今年度中には、新しい橋の建設工事が始まります。

「新しい大巻橋は、向こうに見える仮橋から南におよそ130メートル、ちょうど私の後ろあたりに移設される予定です。」(鈴木竜弘アナウンサー)

県によりますと、大巻橋は小白川の蛇行部分に架けられていたため、水圧や、流木などの圧力で崩落したということです。このため、県では、小白川の蛇行を改修して、流れを良くする工事を同時に進めることとしています。

「(大巻橋崩落時)何か(生活が)途絶えた感じだった。すぐそこに行けなくて遠回りしなければいけなかった。結構重要な橋なんだと思って。(水害にも)大丈夫なように作ってほしい。」(付近住民)

また、所有者不在で放置されていた大巻橋そばの建物について、町は「地盤が一部崩れるなど倒壊の恐れがある」として、「略式代執行」という手続きで強制的に解体する方針です。新しい大巻橋は、2025年度内に完成予定です。
その一方で…。

「未だ復旧のめどがたっていないJR米坂線・長瀞踏切です。踏切をはさんで左右見ますと草が生え放題。全く線路が見えない状態です。」

JR米坂線・長瀞踏切 草が生え放題で線路が見えない

米沢市と新潟県の坂町を結ぶJR米坂線。記録的な雨で、飯豊町内の鉄橋が崩落しました。鉄橋は取り除かれましたが、線路は寸断されたまま。米坂線は、その大部分がバスによる代行輸送が続いています。

崩落したJR米坂線の橋脚

「復旧費用が約86億円、工期が約5年ということでございます。我々が単独で復旧を判断するには少し大きすぎる額。」JR東日本新潟支社小川治彦支社長(当時)

JRでは、線路の復旧と同時に、「赤字路線の議論も必要」だとしていて、今後、山形・新潟両県や沿線の自治体と協議を進めていきたい考えです。これに対し県は。

「災害で被害を受けたものなので、鉄道として復旧することが基本。」(吉村知事)

吉村知事は「災害復旧と赤字路線対策の議論を安易に一緒にすべきではない。」とした上で、引き続きJRと国に対し、早期復旧を求めていくと述べました。豪雨から1年。地域の交通手段は奪われたままです。