無名だった川之江ナイン 甲子園4強入り
「え~と、川之江くん?」
「いえ、川之江高校です」
2002年8月8日、夏の甲子園の開会式当日の朝。開会式の入場行進を前に、球場の外周では、代表校の選手たちがチームごとにかたまり待機していた。
当時、チームの密着取材で甲子園入りしていた私は、選手達にマイクを向けては「どんな行進をしたいですか?」などと昂る思いを聞いてまわっていた。
そんな時だった。ある高校野球番組のリポ―ターがかけたのが先の一言…。
この12日後、川之江ナインは4強入りを果たし、大歓声を浴びながら準決勝の舞台にいた。
この夏、全国4163校の頂きにはあと一歩届かなかったが、189センチの右サイド、鎌倉健投手のスライダーはプロのスカウトを唸らせ、キャプテン三好の一発に甲子園はどよめいた。

結局、川之江は「センバツ優勝の報徳学園」を破った浦和学院に2回戦でサヨナラ勝ちを収めると、3回戦で桐光学園、準々決勝で遊学館と、3試合連続1点差ゲームを制すると、準決勝では四国勢対決、初優勝した高知の明徳義塾に大敗したものの、地方の県立高校の快進撃には全国の高校野球ファンから温かい声援が贈られた。
そんな「21年前の夏」で思い出すエピソードがある。