専門家「アメリカの一部にはいまだに『原爆は栄光の兵器』という考え方がある」

山本キャスター:
問題の背景に何があるのか、専門家に聞きました。
明治学院大学の高原孝生名誉教授によると、「アメリカの一部の人たちにはいまだに『原爆は栄光の兵器』、“ウイニングウェポン”という考え方がある」「原爆被害の実態を知らないので命をなくされた人や、戦後も長く苦しんだ人たちへの想像が働かない」ということです。

小川キャスター:
7月に広島に取材に行ってきたのですが、原爆ドームの前には猛暑の中でも被ばくの実相の資料を配り歩く語り部の方がいらっしゃいました。今も放射能の影響がいつ出てくるのか怯えながら、心のトラウマにも苦しみながら、日々を繋いでいらっしゃる方が多くいるというなかで、あまりに悲しいなという気持ちになりました。

慶応義塾大学 宮田裕章 教授:
G7広島はいったい何だったのかという気持ちになりますし、例えばナチスや9.11(アメリカ同時多発テロ事件)をネタにして、同じことをした場合、彼らはどう感じるのか。なぜ、我々が今回のことに憤りを感じているのかということをしっかり伝えていかなくてはいけないと思います。

“原爆画像”への対応 批判殺到にアメリカ・ワーナーがお詫び

山本キャスター:
そして先ほど、アメリカメディアによりますと、アメリカ・ワーナー本社がコメントを発表しました。
「ワーナー・ブラザースは最近行われた配慮のないソーシャルメディアでの行動を遺憾に思っております。スタジオ側から深くお詫び申し上げます」ということです。

小川キャスター:
謝罪はしましたが…

慶応義塾大学 宮田教授:
ただ、これはプレス向けの謝罪であって、SNS上ではまだコメントしていないですよね。ワーナー・ジャパンもこの映画を守るのであれば、ワーナー本社と対話していくべきだと思うし、さらにロシア・ウクライナ戦争で核兵器の脅威がちらついている中で、原爆の脅威というのをしっかり受け止めるうえで、茶化していいものではない。それを使用した時にどんな深刻な被害、致命的な出来事が起こるのかというのも含めて、我々はこの問題に対して怒りを伝えていかなければいけないのかなと思います。

小川キャスター:
被ばくの実相を知らない方が多いなかで、これをきっかけに広く認識してもらうためにもSNSで公式に発表・見解を示してもらいたいと感じますね。