子どものころに性被害を受けた2人の女性。トラウマを抱えながらも前を向いて生きています。2人の心の交流を取材しました。
5歳のときに友人の父から受けた性被害 意味を理解したのは中学生のとき
人目を気にせず自分らしく生きる。彼女には遠い世界の話でした。
(柳谷和美さん)
「幸せになったり笑ったりするのが加害者に対する最大の復讐。絶対幸せになったんねんみたいな」
柳谷和美さん、55歳。性被害当事者として全国で講演活動をしています。
(講演会で話す柳谷和美さん)
「子どもらしい子ども時代を奪うんですよ、性暴力は。そのときだけの加害者の一時の快楽によって、私はずっと自分を殺したいと思うんです」
性被害を受けたのは5歳のとき。隣に住む友人の家に遊びにいったときでした。友人は外出していて、家にいたのはその父親だけ。「お医者さんごっこしよう」と声をかけられました。
(柳谷和美さん)
「本当に遊びと思っているから、『全部脱いで』って言われて全部脱いで。自分で二段ベッドに上がっていって寝て、『じゃあ今から診察しますね』と目隠しをされて、そこから体の感覚だけですよね」
受けた行為の意味を理解したのは中学生のとき。自分の体が汚く思え、自傷行為がやめられなくなりました。
30代のときに出会った夫には被害のことを話しました。全てを受け入れてくれ、時々「死にたい」と暴れる和美さんに優しく寄り添ってくれたそうです。
(柳谷和美さん)
「生きている価値がないみたいな感じ。私の存在がみんなに迷惑をかけているから私は消えた方がいい、みたいな思考になっちゃうんですよ」