被告人質問で男が語ったことは…

被告人質問では、事故直前の男の運転について質問が集中した。
(検察官)「追い抜いた車が気になっていたと言っていたが、車種がわからなかった?」
(男)「はい」
(検察官)「手前の交差点を赤信号で止まっている間は前の車を長く見ることができたが、その時には特定できなかった?」
(男)「はい」
(検察官)「車種がわかったのは?」
(男)「追い抜いてルームミラーを見た時です。ヘッドライトのあたりを見てわかりました」
(検察官)「追い抜いた車は前からではヘッドライトでよく見えないのでは?」(男)「あまりそうは思いません」
(裁判員)「周りの車と車間距離が開いていくのは感じましたか?」
(男)「少し感じました」
(裁判員)「それは自分の車が加速しているのか、周りの車が減速しているのか、どちらだと思いましたか?」
(男)「周りの車が速度を落としたからだと思いました」
(裁判官)「進路変更をしてから、同乗者に『やばいって』と声をかけられるまで秒数があるが?」
(男)「後ろを見ることに夢中になっていた。スピードが上がっている自覚もなかった」
(裁判官)「それでも真っ直ぐ走れたのはどうしてですか?」
(男)「おそらく他の車よりも性能が良いこともあり、直線でそんなにぶれることはない」
(裁判官)「別の車の友人を驚かせようと思ったのなら、前に行かせようとは思いませんでしたか?」
(男)「特に考えませんでした」

検察側は「かねてから夜に一般道でライトを消しての赤信号無視や高速度での危険運転を繰り返し、検挙を免れる意欲が旺盛で法を守る意識がない。運転は極めて危険かつ悪質で、起こるべくして起きた事故であり、強く非難されるべき」として懲役11年を求刑。

一方、弁護側は「ライトを消したのは後ろを走る友人を驚かせるためで、赤信号を殊更に無視したとは認定できない」などとして、“危険運転致死罪は成立しない”と改めて述べた。
後編では、事故で最愛の息子を突然失った家族の思いを伝える。
【後編】
「同じ痛い思いをして死んでほしい…」 時速110キロ超えで信号無視の車に奪われた17歳の命 被害者家族の悲痛な願い
CBCテレビでは少年法の理念を踏まえ、社会的影響等を鑑みて男を匿名としています。