処理水放出をめぐり日本の水産物 事実上“輸入禁止”に

中国の税関当局が7月7日福島第1原発の処理水の海洋放出計画を受けて発表した通知には、日本からの水産物について「100%の検査を行う」として、検査の厳格化を打ち出しました。
今回の措置について、中国政府は…

中国外務省 毛寧 報道官
「私達は人民の健康や海洋環境に責任を持たなければならない。日本の海洋放出に反対し、措置を取ることは理にかなっている」

関係者によると放射性物質の検査は、鮮魚だと2週間、冷凍したものは1か月ほどかかるといいます。しかし、鮮魚は2週間の間に痛んでしまい、取引ができない状態だということで、店に残っていた日本の魚は、冷凍のキンキのみでした。
上海の日本料理店 総料理長 本多淳一さん
「先週が最後の便だったので、もう5、6日前ですね」
元々鮮魚の8割は日本から輸入していましたが、今の仕入れ先は主に中国。この日提供したマダイやカンパチも福建省で採れたものです。
上海の日本料理店 総料理長 本多淳一さん
「やはり中国・上海、特に寿司屋さんとかもすごいブームなので、なくなるっていうのも本当に“飛車角落ち”で将棋を打つみたいなことになってしまいますので」
日本の海産物の輸出先で2022年トップだった中国。こうした検査強化が続けば、日本の食品輸出に大きな打撃となりそうです。
記事で“核汚染水” 市民の受け止めは?

小川彩佳キャスター:
取材した上海支局の寺島記者に聞きます。この処理水の海洋放出、中国ではどのように受け止められているんでしょうか?
寺嶋宗樹 記者:
こちらは中国共産党系の機関紙「人民日報」の7月21日の記事なんですが、“処理水”ではなく“核汚染水”という言葉が使われていて、記事の中では、日本や韓国でも反対運動が起きているということや、具体的に日本の地方新聞社の名前を挙げて社説に、反対意見が載っているというようなことが書かれています。

他のメディアでも、中国外務省の報道官の発言を引用するなどして、海洋放出に反対する主張が繰り返されています。
一方、取材した上海の日本料理店では、客から海洋放出の件を聞かれることがあると言いますが、今のところ「大変だね」というようなトーンで、直接的な批判は寄せられていないということです。
上海には20万人の外国人が住んでいるということもあって、国際的な感覚を持つ市民も多いので、こうした反応は上海ならではと言えるかもしれません。ただ私の知人で、日本に好意的な人の中でも「100%大丈夫とは言えないんじゃないか。魚にも抵抗感が出てきた」と心配する人もいて、連日の報道の影響もあって、不安が広がっていることは間違いなさそうです。














