多様な子どもたちが一緒に音楽を奏でる「ホワイトハンドコーラス」。南米ベネズエラの音楽教育の一環として生まれたこの音楽が、全国で広がりを見せています。
その活動から私たちが目指す社会のあり方を考えます。

「ホワイトハンドコーラス」とは?活動拠点を訪ねると

しっとりとした歌声を響かせる子どもたちと、白い手袋をつけ、表情豊かに曲を表現する子どもたち。声を使う「声隊」と手の動きや表情で表現する「サイン隊」で構成される『ホワイトハンドコーラス』です。

「ホワイトハンドコーラス」は、障がいの有無に関わらず、多様な子どもたちが一緒に音楽を奏でるもので、南米ベネズエラの音楽教育の一環として生まれました。

ホワイトハンドコーラスNIPPON コロンえりか芸術監督
「音楽を学ぶことは精神的に人間として成長するだけではなくて、子どもたちの人生を変えていったという事例は沢山あります」

ベネズエラ出身のソプラノ歌手、コロンえりかさん。『ホワイトハンドコーラスNIPPON』の芸術監督です。沖縄支部立ち上げの背景には、自身と沖縄とのゆかりがありました。

コロンえりか芸術監督
「実は私の夫の父がウチナーンチュで、沖縄に沢山親戚がいて私にとっては第二の故郷になっています」

去年設立された『ホワイトハンドコーラス沖縄』。障がいの有無に関わらず、小学生から高校生まで20人余りの子どもたちが参加。週1回、那覇市や沖縄市を拠点に活動しています。

指導するのは、現役で活躍するプロの音楽家や手話の先生たちです。

「こんな感じで見るんだよ、目どこ?あっちにいるかな?こっちかな?って…目を細く目を見てごらん」

「サイン隊」が行っているのは「手歌」の練習。手話をベースにした「手歌」は、手の動きや表情で歌詞の世界観を表現します。

手歌指導 田盛健了さん
「やっぱり表情ですね。手はあくまで2番目、サブなんです。想像力豊かに表現できるようになったら良いなぁと思っています」

子どもたちをリードするのは、林珠里さんと、聴覚に障がいのある垣花瑛蓮さん。活動に参加して、それぞれの変化を感じているようです。

声隊 林珠里さん
「困っている人がいた時に自分から助けようっていうそういう気持ちが湧くようになってきました。参加するのが楽しいです、とっても」

サイン隊 垣花瑛蓮さん
「音楽にあまり興味はなかったし何も思わなかったが、色んな手話を知ることができて、色んな音楽に興味が湧いて楽しい」

瑛蓮さんの母・水貴さんはー

瑛蓮さんの母 垣花水貴さん
「聞こえる方々と音楽を楽しめるっていうことが、何よりも本人の自信となってきて、自分だけが聞こえないことで困っているんじゃないっていうところを、本人自身の理解が始まったので『一緒に生きていく』っということが、ここに小さな社会に現れていると思います」

すべての子どもたちがともに学ぶ教育、いわゆる「インクルーシブ教育」をめぐっては、県教育委員会が、昨年度から2031年度までの「特別支援教育推進計画」を掲げています。

県教育庁の担当者はホワイトハンドコーラスの活動について「教育現場と違い、気軽に参加しやすく、共生社会を広げていくために意義のある取り組み」と話します。

ホワイトハンドコーラスの活動は、人や国の不平等をなくそうというSDGsの目標につながっています。