今、東京・浅草で開業間もないホテルが相次いで休業、閉鎖となっています。2年以上続くコロナ禍で外国人観光客が激減する中、観光客以外も広く呼び込もうという動きが広がっています。

■外国人観光客に人気の浅草 コロナの傷跡が…

外国人観光客の姿が消えて2年あまり…浅草ではその“傷跡”が見られます。

山本恵里伽キャスター:
「こちらのホテル、まだ新しいように見えますが、白い塀に囲われていまして中に入ることはできません。こちらの浅草のホテルもカーテンが閉まっていて営業していないですね」


浅草では開業間もないホテルの休業や閉館が相次いでいました。なかにはPCR検査場になっていたホテルも。

創業80年、和風旅館にこだわり、多くの外国人をもてなしてきた「旅館 指月」では…

記者
「コロナ禍で外国人客はほぼ…」

浅草の旅館指月 社長
「ほぼじゃないよ、ゼロだよ!もういいや、来なきゃ来ないで。やけのやんぱち」

コロナ前は利用客のほぼ100%が外国人だったといいます。受け入れ再開に社長は「まだ期待できない」と話します。

浅草の旅館指月 社長
「お見えになるといっても結局パッケージで来る。私どもの個人客の旅館・ホテルには影響は何も無いですよ」

外国人の受け入れは1日2万人に制限されるうえ、添乗員付きのツアー客に限定されます。個人旅行が主体の宿にとって集客につながらないというのです。

一方、同じ浅草エリアに2021年12月に開業した宿泊施設「staymeBOOKS吾妻橋」。観光客以外にもターゲットを広げることで6月2日は3部屋、すべて満室だといいます。

自慢はインテリアデザイナーが手がけた空間。“美味しいコーヒーを飲みながら本を読める”というのがコンセプトです。


同じ時期に近くに開業した「staymeART両国」で、別のタイプの部屋を見せてもらいました。

山本キャスター:
「お部屋は家具とか全てついてるわけですね」

宿泊施設の担当者
「部屋は広くてキッチンとか、家具家電も全部揃っています」

リモートワークにも対応し、中長期の宿泊者を取り込むのが狙いです。


宿泊施設の担当者
「観光のお客様はほとんどいらっしゃらないんです。普通に家の中で仕事するだけではなく、アートとか本とかがあるような部屋に泊まっていただく。非日常を味わっていただくという需要が増えております」

■“脱観光依存” 老舗店にも求められる改革

観光客に頼らず、地元客を取り込もうとする動きもあります。6月1日にオープンした京都市内の蕎麦店を運営しているのは1904年創業の「よーじや」。あぶらとり紙で知られる老舗企業です。


京都市民
「ワンコインで食べられるというのが魅力的ですね」

蕎麦は国産そば粉100%の十割蕎麦です。セルフサービス形式で「ざるそば」は税込み500円の安さ。いったいなぜ蕎麦店を?


よーじやグループ代表
「“脱観光依存”をよーじやグループ自体が掲げていて、『よーじや』というロゴに頼るだけではなくて、本業以外の取り組みをしないといけないと思いまして」

観光業の完全復活にはほど遠い中、生き残りを賭けた挑戦が続いています。