小麦をはじめとする穀物価格が高騰するのではないかとの見通しが広がっています。ロシアがウクライナ産の小麦などを安全に輸送するための合意を停止すると発表したためです。世界有数の穀物生産国・ウクライナの輸出が滞ることで、穀物価格の高騰や食料危機を招くのではないかとの懸念も出ています。
小麦など穀物価格“高騰” 高まる懸念
東京・恵比寿のイタリア料理店「バーチョ ディ ジュリエッタ」は、値上げせずに踏ん張ってきたといいますが、穀物価格がさらに上昇するとの見通しもあり、総料理長は頭を抱えます。

バーチョ ディ ジュリエッタ 柳田慎一 総料理長
「正直、厳しいです。ひょっとしたらやむを得ず、メニューの方は値上げをさせていただくかもしれませんけど、ちょっと今の段階では様子を見ているような段階です」
穀物価格の高騰と世界的な食料危機。その懸念が高まる背景には、ロシアのウクライナ侵略が…。
穀物輸出合意“停止” 日本にも影響か
世界有数の穀物輸出国のウクライナは、穀物を戦闘中でも安全に黒海を通じて輸送できるようにロシアとの間で合意を結んでいました。しかし、ロシアが17日、一方的に合意の停止を発表。穀物の安定供給が不透明な事態に。

アメリカ トーマスグリーンフィールド国連大使
「ロシアは人類を人質に取った」
ロシア側は「海上輸送路を隠れ蓑にウクライナが攻撃している」などとして、合意停止の正当性を主張していますが、国連安保理では各国の批判が集中しました。
また、日本政府はロシアを非難した上で、「世界の食料供給」への影響に懸念を示しました。

ウクライナの穀物輸出が滞ることで、影響を受ける国の中にはアフリカ諸国もあります。2022年7月以降、この合意を通じて3200万トン以上が輸出され、ソマリアなどでの食料援助にも活用されてきました。
国連のグテーレス事務総長は「世界中の困窮する人々に打撃を与えるだろう」と指摘します。
“食料危機”は回避できるのでしょうか。