中古車販売大手の「ビッグモーター」は、ドライバーやゴルフボールなどで車にわざと傷をつけ大手損害保険会社に対し保険金を不正に請求していた問題で、外部の弁護士で作る調査委員会の報告書を公表しました。
「ビッグモーター」の特別調査委員会がまとめた報告書によりますと、自動車の修理の際に、▼ヘッドライトのカバーを割る、▼ドライバーで車体を引っ掻く、▼ローソク、サンドペーパーなどで車体に傷をつける、▼ゴルフボールを靴下に入れて振り回して車体を叩くなどしてわざと損傷を作り出し、大手損保3社に対して、自動車保険の保険金を不正に水増し請求していました。
また、報告書では損傷確認の際に行う写真撮影で、実際には損傷がないにも関わらず、角度を工夫するなどして、あたかも傷が存在するかのように撮る行為が横行していたと指摘しています。
こうした不正な作業は2020年以前から継続して発生していたとみられ、修理担当の従業員382人へのアンケート調査ではおよそ3割が「不正な作業に関与した」と回答。そのうち、およそ6割が理由として「上司からの指示」をあげました。
また、2014年以降、数年のうちに工場の数が倍増したことで、作業員の多くが未経験者や外国人労働者といった技量の低い作業員だったといいます。
さらに、修理の工賃や部品の利益などの合計額がノルマとして設定され、1台当たり14万円前後を達成するよう要求されていたといい、「ノルマ達成を優先するあまり、法令順守の意識が希薄化していったことがうかがえる」としています。
ノルマとなった修理の工賃をめぐっては、車の損傷状況によって決まるものであり、「営業努力によって大きく大きく上下するのものでなく、不合理な目標値設定」と指摘。
調査の中で、ある従業員は「お客さんに事故を起こしてくれと言えるものではない。この仕事は水物で、上層部は勘違いしているのではないか。損保会社から何も言われないのをいいことに、エスカレートして不正までいってしまったのではないか」と話したということです。
問題を受け、「ビッグモーター」は兼重宏行社長が1年間の報酬を返上すると発表。その上で「顧客満足を第一に考えるという原点に立ち返り、全社をあげて再発防止策を実践することにより、お客様や損害保険会社様をはじめとしたすべてのステークホルダーの信頼回復に向けて不断の努力を行うことをお約束します」とコメントしています。
また、不正請求を受けた大手損保3社は「ビッグモーター」に対し、▼払いすぎた保険金の返還と、▼詳しい経緯の説明、▼再発防止の取り組みを求めると同時に、契約者への対応を進めるとしています。
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