さまざまな理由で学校に行けなくなり、不登校となった生徒たちがいます。1000人あたりで見てみますと、高知県では中学生、高校生共に、全国平均を上回っているんです。そんな生徒たちの学びと生活をサポートしようという取り組みを取材しました。「不登校は悲観することではない」社会全体で向き合えば、その子たちにとっての明るい未来が広がるはずです。
体調がすぐれず毎日通学できない。進学校での授業についていけなくなった。さまざまな理由で学校に通うことができなくなった子どもたちがいます。
令和3年度、県内では中学生1000人あたり61.2人が。高校生1000人あたりでは18人が、何らかの事情で不登校となっています。

いずれも全国平均を上回っていて、中学生をみてみると増加が続いています。
そんな子どもたちを学びをサポートする場所があります。『家庭教師のトライ』を展開するトライグループが運営している、トライ式高等学院とトライ式中等部です。全国に展開していて、県内唯一の高知市のキャンパスには40人以上の中高生が在籍しています。およそ20人の講師が勉強面だけでなく、生活面もサポート。卒業や進学、そしてその先の夢を応援してくれる、生徒たちの心強い味方です。
(トライ式高等学院 高知キャンパス 山本実咲 キャンパス長)
「私たちが大切にしていることは、生徒の夢や目標を大人が諦めてしまわないことです。一人ひとりの夢や目標を大切にして、その子に合った支援のあり方を探していくっていうのが、私たちが大切にしていることです」
高校3年生の氏原輝空(うじはら・きら)さん。1年生の秋からトライ式高等学院に通っています。

全日制の中学校に通っていましたが、さまざまなストレスを抱えるようになり、学校に行けなくなってしまったといいます。
(高校3年生 氏原輝空さん)
「なりたい自分というものがなかなか見つけられない環境にいたので…でも何かしらには…このままではいけないというふうには思っていたので、とりあえず大学を目指してみようかなというふうに思いました。(Q.トライ式高等学院のよさは?)自分のペースで、勉強できることかなと思います。マンツーマン授業などもわかりやすいですし、自分がわからないことなどはしっかり解決できるというところがいいところかなと思います」
トライ式高等学院では授業だけでなく、社会で生き抜く力を身につけてもらうことも大切にしています。その一つとして行われているのが、弁論大会です。氏原さんは県の代表。オンラインで行われた中四国大会では、自身の夢について、朗々とした声で語りました。
(氏原輝空さん)
「私は日本において今後、科学的なメンタルトレーニングを今後広めていきたいと考えています。そして、ゆくゆくは日本の社会全体をとりまく一人一人の可能性まで広げ、豊かな社会にしていきたいと思っています」
氏原さんはこの中四国大会で入賞しました。トライ式高等学院での取り組みが自身の成長につながっていると、手ごたえを感じています。

(氏原輝空さん)
「将来の夢、スポーツメンタルトレーナーは人とかかわる仕事なので、うまく人に思いを伝えるじゃないですけど、上手に緊張せずに、話さないといけないと思うので、今回の弁論大会に参加して、より一段そのような部分が身についたかなと思います」
年に1回行われている体育祭は、みんなが特に楽しみにしているイベントです。

中学校、高校でなくても、生徒としての生活をより充実したものにしてほしいという思いが込められています。
(トライ式高等学院 高知キャンパス 講師兼スタッフ 山下智栄さん)
「普段話すのが苦手な生徒さんも普段見せない笑顔を見せてくれたり、運動が苦手そうな子も、実はすごくボールを投げるのが上手だったり走るのが速かったりして、毎回私たちも驚かされています」
(参加した生徒)
「楽しいですね、やっぱり。久しぶりに運動するみたいな。すごくリフレッシュできました」
「みんなで同じことに向かって『勝とう!』と頑張れるので、すごく仲良くなれた感じがします」
体育祭は、生徒たちが主体となって、計画・実行されます。今回の実行委員の一人、宮田和馬(みやた・かずま)さんは、みんなの楽しそうな笑顔を見られてほっとしています。
(高校3年生 宮田和馬さん)
「忙しかったけど、みんなを引っ張って、ちょっと時間押したけど、楽しくできてよかったと思います。これから自分も迷っていくと思うので、こういうみんなを引っ張ったという気持ちで、自分も鼓舞して引っ張っていきたいと思います」
弁論大会で入賞した氏原さんも、体育祭の実行委員会を務めた宮田さんも、将来なりたい自分の姿を、はっきりと話していました。
(トライ式高等学院 高知キャンパス 山本実咲キャンパス長)
「我々社会としては、不登校を今経験している皆さんが、もう一度前を向ける、希望を持てる社会をつくるという責任があると思います。県が抱える中学校・高校にまたがるさまざまな課題を包括的に解決できる場所になれたらと思っています」
不登校の生徒が全国平均を上回る中、県教育委員会は不登校を未然に防ぐ取り組みに加え、学校以外での生徒たちの学びを支援していくために、先月、協議会を設置。令和6年度末にはガイドラインを作りたい考えです。さまざまな背景がある、学校に通えない子どもたち。行政、保護者、民間企業など、大人たちが連携して支えていくことで、子どもたちの未来は広がっていきます。