クマの目撃が増えた要因は…
専門家はエサになるドングリの凶作との関連を指摘します。
(岐阜大学・野生動物管理学研究センター 淺野玄 准教授)
「クマは秋にドングリの実を食べて冬眠に備える。ドングリの実(の量)は、周期的に良くなったり悪くなったりする。ことしはもしかしたら凶作の年になっているのかもしれない」

ブナやミズナラなどのドングリ類は4年から5年ごとに凶作になるサイクルがあり、それに合わせるようにクマの目撃情報や被害が増えているのです。
岐阜県での目撃情報のグラフを見てもはっきりと差が出ています。

4年前の2019年に果樹園に現れたツキノワグマ。この年の目撃情報は平年の2倍から3倍近い854件。ドングリも凶作でした。

そしてその5年前2014年のクマの目撃情報は実に1446件。11月には74歳の男性が襲われて死亡する最悪の事態も起きましたが、この年もドングリは不作でした。

さらにその5年前の2009年には、高山市の乗鞍スカイライン畳平駐車場で観光客がクマに襲われ9人が重軽傷を負いました。この時期もナラ枯れなどでドングリが凶作でした。

国の研究機関の森林総合研究所・動物生態遺伝担当の大西尚樹チーム長はこう話します。

(森林総合研究所 大西尚樹チーム長)
「(ドングリの凶作サイクルは)太古の昔から脈々と受け継がれている。数年に一度ドンと種をならして、一気に蓄えた栄養を使い切る。次の年は(ドングリの木は)ヘロヘロ。豊作があって、次の年に訪れる凶作の年にドンとクマが出てくる」