ウクライナ侵攻が続く中、周辺のヨーロッパの国々はロシアに対する危機感を強めています。NATO=北大西洋条約機構は、バルト海周辺で行われた戦闘機による航空演習を行い、一部メディアに公開しました。ロシアをけん制する狙いです。
4日、ヨーロッパ北部で行われたNATOによる航空演習。拠点となったのがバルト三国のひとつ、リトアニアの空軍基地です。
記者
「いま、サイレンが鳴ってパイロットが走ってきました」
まず、始まったのは戦闘機の「スクランブル=緊急発進」の訓練。
ロシアと国境を接するバルト三国は、ウクライナ侵攻以降、防衛強化を必要とする一方、財政的な理由などで戦闘機を持っていません。そのため、NATO加盟国の空軍が交代で駐留し、24時間態勢で領空を警備しています。
JNNはその警備の演習を輸送機に乗り上空で取材することに。
演習では、輸送機を領空侵犯している航空機に見立て、戦闘機が接近。通常は無線などで警告が行われます。
実際、リトアニアに駐留する戦闘機はこの3か月で15回以上スクランブルを行い、ロシアの航空機46機に警告したということです。
記者
「コックピットにやってきました。パイロットたちが戦闘機に給油を行うための準備を行っています」
また、演習では、輸送機から戦闘機への空中給油も実施されました。領空警備は長時間の飛行となるため、空中での給油が必要となります。今回、輸送機は8か国の領空を飛行し、NATO加盟国の戦闘機のほか、加盟を申請しているスウェーデンの戦闘機も演習に参加しました。
演習を指揮したNATO司令官は、同盟国が連携して領空警備を行うことがロシアへの抑止となると話します。
NATO 共同航空作戦センター ハロルド・バン・ピー司令官
「基本的に誰であれ、例えばロシアに対してであっても、我々が集団で取り組んでいること、集団防衛であることを示したいのです」
さらに、リトアニア政府の高官はロシアの戦線拡大に危機感を示し、NATOによる防衛強化の重要性を訴えました。
リトアニア ジルヴィナス・トムクス副国防相
「ロシアはその能力があるというだけでなく、ヨーロッパで残酷で大規模な戦争を始めるつもりです。NATOと戦争を始める一歩手前まで来ています」
11日から開かれるNATO首脳会議では、バルト3国などに防空ミサイルを配備する計画について議論される予定です。
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