アメリカのバイデン政権は、ウクライナに殺傷力の高いクラスター爆弾を供与すると発表しました。非人道的だとして使用を禁止する国際条約がある爆弾で、国際社会の議論を呼びそうです。
アメリカ政府は7日、ウクライナに対し新たにクラスター爆弾を供与すると発表しました。爆発すると多数の小さな爆弾を広い範囲にまき散らす殺傷力の高い爆弾で、塹壕を掘って守りを固めるロシアへの攻撃に有効だとしてウクライナが提供を求めていました。
クラスター爆弾をめぐっては、不発弾により民間人が被害にあう懸念から非人道的だとして、製造や使用を禁止する「オスロ条約」がありますが、アメリカやロシア、ウクライナは加盟していません。
また、国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」は「ロシアとウクライナの双方がクラスター爆弾を使用し、民間人の死傷者が出ている」として、使用の即時停止を求めるとともにアメリカに対してもウクライナに供与しないよう呼び掛けていました。
今回の供与の決定は国際社会の議論を呼びそうですが、サリバン大統領補佐官は「ロシア軍がこれ以上ウクライナの領土や市民を支配下に置くことは大きなリスクになる」として、供与の必要性を強調。そのうえで民間人の被害を最小限にするため、ウクライナが慎重な使用を保証する文書を提出したと明らかにしています。
また、国防総省は供与する爆弾について不発弾の発生率が2.35%以下のものに限るとしたうえで、ロシア軍が使っているものは30から40%の発生率だと説明しました。アメリカとしては、民間人へ影響が及ぶリスクが相対的に小さいことを示して理解を得たい考えです。
バイデン大統領はアメリカのCNNテレビのインタビューで、クラスター爆弾のウクライナへの供与について使用を禁止している同盟国に事前に説明したとしたうえで「とても難しい決断だった」と話しています。
一方、ゼレンスキー大統領は「ウクライナをそして民主主義を勝利に近づける決定的な一歩となる」とアメリカの新たな軍事支援に謝意を示しました。
国連の報道官は7日、アメリカがウクライナにクラスター爆弾を供与すると発表したことについて、グテーレス事務総長の話として、「国連はクラスター爆弾の使用を禁止する国際条約を支持していて、各国に遵守するよう求めている。戦場でのクラスター爆弾の継続的な使用を望んでいない」と述べました。
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