韓国でも梅雨の最中ですが、懸案となっているのが、去年の大雨で死者も出た「半地下」住宅の浸水対策です。家主の反対などで対策工事が進まない建物もあり、時間がかかっています。
先月下旬、梅雨入りした韓国。しばらく雨模様となりそうですが、心配の種となっているのが、半分が地下室となっている「半地下」の浸水対策です。
「半地下」は、1970年代に防空壕としても使える地下室として設置が進み、その後、住宅としての利用が普及。アカデミー賞を受賞した貧困の家族を描く韓国映画にも登場し、地上階より家賃が安いことから、“格差社会の象徴”とも言われています。
そんな中、去年8月に悲劇が起きました。
ソウルで記録的な大雨が降った際、半地下で暮らしていた一家3人が逃げ遅れて死亡。これをきっかけに、ソウル市は段階的に半地下を廃止することに。
ソウル市内の半地下は、およそ23万7000世帯。廃止には時間がかかることから、取り急ぎの対策として市が実施しているのが止水板の設置です。しかし…
記者
「ソウル市内の住宅街なんですが、こちらの半地下の建物には止水板が設置されています。しかし、その隣の建物にはまだ設置されていません」
ソウル市は、浸水のリスクが高い1万5000世帯あまりへの止水板設置を急いでいますが、まだ3割以上残っています。なかなか進まない理由について、尹錫悦大統領は閣議でこう言及しています。
韓国 尹錫悦大統領
「住宅価格の下落を懸念した家主の反対などで、(半地下住宅に対する)浸水防止施設の設置が、低調な実績だと聞いています」
止水板を設置することによって、“浸水の危険がある物件”として不動産価格が落ちるのを心配し、断る住民が少なくないというのです。
半地下に住む人
「私はよくここを気にします。下水道の穴が詰まったら、あふれるかもしれないので」
こちらの女性は、8年前に半地下の部屋を購入。おととしには雨水が実際に部屋に入ってきたといいます。
半地下に住む人
「いつも不安です。雨が降ってきたらどこから溢れてくるのか」
しかし、地上階にはなかなか引っ越せない事情も抱えています。
半地下に住む人
「上の階に引っ越したいのですが、経済力もないし…」
なんとか住民の命を守ろうと、行政は知恵を絞っています。
ソウル市の江東区は防犯窓と止水板、水の感知センサーを1セットにして無料で取り付けるサービスを開始。これが好評で、設置に同意する半地下の住民が8割を超えました。
ソウル市江東区治水課 チェ・ガンユン課長
「住民たちの反応も良い。今は釜山など、他の市から問い合わせの電話がたくさん来ています」
今年の梅雨でもすでに大雨の被害がでた地方もあり、行政は対策を急いでいます。
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