韓国で今年、家畜伝染病「口蹄疫」が相次ぎ発生。また、「豚熱」「アフリカ豚熱」もアジア圏でいま猛威を振るっていて、日本国内に侵入するリスクが高まっているとして水際対策が強化されています。家畜伝染病が侵入すると、国内の畜産業に甚大な被害をもたらすほか、侵入した地域の社会経済活動にも大きな影響を及ぼすとされていて、畜産関係者が警戒感を強めています。
大分県竹田市にある荻町高原総合農場では県内最多となる3万5000匹の豚が飼育されています。経営者の工藤厚憲さんは豚舎を管理するうえで、最近気がかりなことがあるといいます。
(荻町高原総合農場・工藤厚憲社長)「豚熱という病気があるが、それ以上にアフリカ豚熱が侵入したら豚を全部処分しないといけないので非常に心配している」
「豚熱」、「アフリカ豚熱」(ASF)、「口蹄疫」。これらはいずれも致死率が高い家畜伝染病で、いまアジアを中心に拡大しています。このうち豚熱はすでに日本に侵入。2018年に発生が確認された岐阜県を中心に感染は拡大し、西は山口県まで迫ってきています。また、致死率がより高いアフリカ豚熱は2018年8月にアジア地域では初めて中国で発生が確認され、ベトナム、モンゴル、カンボジア、韓国などでも発生。日本ではまだ発生事例がありませんが、畜産関係者が警戒感を強めています。

こうした中、感染を防ぐため畜産農家はさまざまな対策を講じています。施設は関係者以外の立ち入りが禁止されているほか、防護柵や防鳥ネットを張り巡らせてイノシシや野鳥の侵入を防いでいます。また、豚舎に入る際も手指はもちろん消石灰を溶かした液で靴底を消毒するなど徹底しています。
(荻町高原総合農場・工藤厚憲社長)「絶対にウイルスを入れないという強い思いで対策している。全部が殺処分となると経済的な損失は計り知れない」
