福島第一原発にたまり続ける処理水を海に流すための設備について、原子力規制委員会は、28日から性能を確認する最終的な検査を始めました。

東京電力は、26日に処理水の放出設備の工事を完了させ、6月12日から行っていた海水と真水を使った試運転では設備に問題がなかったことを確認しました。

これに伴い、原子力規制委員会は28日午前9時すぎから、原発構内で設備の性能を確認する「使用前検査」を始めました。

検査ではトラブルの際に、放出を止める遮断弁がきちんと作動するかや、処理水を海水と混ぜる設備などを確認します。検査は28日から3日間の日程で行われ、これに合格すれば、放出に向けた設備面の準備がすべて整うことになります。

処理水の海洋放出に向けた動きが加速するなか、松野官房長官は28日の会見で「地元関係者の理解が必要だ」との認識を示しました。

松野官房長官「2015年に福島県漁連に回答した『関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない』との方針を順守します」

一方で、政府は7月4日にIAEA=国際原子力機関のグロッシ事務局長と面会する方向で調整していて、そこで処理水に関する包括的な報告書を受け取る予定です。

▼処理水 福島の葛藤
処理水の海洋放出に向け、準備が大詰めを迎えていますが、関係者の理解や風評への懸念など、課題は残ったままです。TUFでは、処理水をめぐる課題や現状をシリーズでお伝えしています。