陸上自衛隊郡山駐屯地に勤務していた元自衛官・五ノ井里奈(ごのい・りな)さんにわいせつな行為をしたとして、強制わいせつの罪に問われている元自衛官の男3人の初公判が、福島地裁で開かれました。3人は起訴内容を否認し、無罪を主張しました。
強制わいせつの罪に問われているのは、元陸上自衛官の男3人です。
起訴状によりますと、3人はおととし8月3日午後8時すぎ、北海道にある陸上自衛隊演習場の建物内で、五ノ井さんを含む自衛官らと飲食中、五ノ井さんを格闘技を使ってベッドに倒し、覆いかぶさって下半身を接触させるなどのわいせつな行為をしたとされています。
この事件では、五ノ井さんが被害届を提出し、3人は強制わいせつの疑いで書類送検されたのち、不起訴処分となりました。一方で、防衛省は去年9月に事実関係を認めて謝罪し、隊員4人も五ノ井さんに直接謝罪しました。
その後、検察は検察審査会の「不起訴不当」の議決を受けて再捜査し、今年3月、3人を在宅起訴しました。
■五ノ井さんも証言台に「命を削って戦っている」
29日に行われた初公判で、3人はそれぞれ五ノ井さんを倒したことは認めましたが、下半身を接触させたことについては否認しました。弁護人は「わいせつ行為にはあたらない」として、無罪を主張しました。
検察は、冒頭陳述で「上司の隊員が技をかけろと言い、3人がそれぞれ行為に及んだ」などと指摘しました。
裁判では、五ノ井さんへの証人尋問も行われ、当時断れなかったことについて「周りに柔道部の監督や先輩がいて、断れなかった。その場の雰囲気や関係を壊してしまうと思った」と答えました。また「自衛隊に入隊するのが夢だった。今でもフラッシュバックして、好きだった柔道が純粋にできない」などと言葉を詰まらせながら、話しました。そして、被告3人について「事実を認めて反省してもらいたいだけ。そのために命を削って戦っている。生きているのに必死です」などと訴えました。
次回の裁判は、7月31日に開かれます。
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