国内の所有者不明土地は九州・中国・四国に匹敵する広大な面積
日本地図にあてはめると九州・中国・四国に匹敵する広大な面積が、持ち主のわからない状態となっています。

(大分地方法務局・本田浩一郎統括登記官)「これまで相続登記は任意とされてきた。費用や手間をかけてまでも登記を申請する意欲がわきにくかったことなどが指摘されています」
相続人が不動産取得から3年以内に登記しないと10万円以下の過料
こうした問題を解消するため、来年4月から始まるのが相続登記の義務化です。相続人が不動産の取得を知った日から3年以内に登記しなければ10万円以下の過料に科される可能性があります。厳罰化に伴う負担軽減策としては法定相続人であることを申告すれば過料を一時的に免れる措置があるほか、今年4月からは相続した土地の所有権を国に移す制度が先行して始まっています。

(大分地方法務局・本田浩一郎統括登記官)「登記簿を見て名義や住所を確認していただくこと。所有者が亡くなったら、遺産分割協議を経て相続登記を早めにしてほしい」
今回の厳罰化のきっかけになったのが東日本大震災です。土地の所有者がわからず復興の妨げになったことが社会問題となっています。

広い道と狭い道が混在している大分市の県道佐賀関循環線。沿線にある土地は相続登記が行われず、権利者がおよそ50人まで増加しています。県は道路の拡幅工事に着手していますが、すべての権利者から許可を得ることはできず、事業に遅れが出ています。
(県土地家屋調査士会・安部晴夫会長)「50人全員にあたってという形で、途中から全然会えない方とか、ハンコがもらない方が出てきて、一部拡幅ができなかった」
登記忘れを防ぐには市町村で「名寄帳」を取得すること
相続登記を見落としやすいのが、固定資産税の通知が届かない価値の低い土地や墓地・共有道路です。相続手続きの際は市町村で名寄帳(なよせちょう)を取得することで、登記忘れを防ぐことができます。

(県土地家屋調査士会・安部晴夫会長)「不動産はなくなりませんので、将来にわたって考えていただいて、自分の代でなんとかしようと考えてもらえるといいのではないか」
土地の管理には欠かすことができない相続登記。将来世代への負担を減らすためにも一人ひとりが責任を果たすことが肝心です。