ウクライナ ダム決壊で井戸水も汚染 広がる影響
小川彩佳キャスター:
ダム決壊による住民への影響はまだ長引いているようですね。
記者:
ダム決壊による影響は民家への被害に留まらず、多岐に及んでいます。
そのうちのひとつに農業があります。私はきょう、洪水の影響で農地の作物が流されてしまった農家の皆さんに取材しましたが、本来であればあと2週間後に小麦の収穫を控えていた、まさにその目前の惨事だったということでした。

被災したエリア全体では、数百万トン(約1兆5000億円)近くの被害額になるという試算もあります。
それだけでなく、150トンともいわれる油の流出によって、井戸の水が汚染され飲料水へのアクセスが途絶えているなどの問題や、ほかの産業や環境へのダメージも指摘されるなど、あまりの甚大さに被害の全容はまだ分かっていません。

慶応大医学部教授 宮田裕章さん:
ウクライナの人々にとって反転攻勢は希望になる一方で、今後も激しい戦闘が続くとさらにインフラなどに深刻な影響が出てくることも考えられます。住民はどう感じていますか?
記者:
きょう取材した農家の方は、去年はロシア側の攻撃によって穀物の収穫を諦めざる負えず、「今年こそは」と思っていた矢先に洪水の被害に見舞われたということです。「次はどんな苦しみが待ち受けているのか。終わりの見えない軍事侵攻の中、もう何もかも諦めたくなってしまいます」という悲痛な声に胸が痛みます。
一方で、最新の調査では、ウクライナ国民の84%という大多数が「領土を譲歩するべきでない」と、いわば反転攻勢を支持しています。
ロシア側が攻撃を加えれば加えるほどに、犠牲を伴ってでも戦いを止めるべきではないというウクライナの人の決意は強くなっているとも感じます。