■ 鍵を握る裁判 "裁判官の違い"

国の理屈を覆す新たな資料が提示できるか?
あるいは広島との『平等権』を主張できないのか?

諫早総合法律事務所で今月、長崎地裁で続く被爆体験者訴訟(再提訴)の弁護団会議が行われました。
もしこの裁判で勝てば、救済への道は大きく開けます、でも負ければ…その道が閉ざされる可能性も出てきます。鍵を握っているともいえる裁判です。


長崎県保険医協会 会長 本田 孝也 医師「不平等じゃないかと。広島では(被爆者健康手帳を)もらえて、長崎ではもらえない。そこは裁判ではつけないんですか?」
被爆体験者訴訟 弁護団 中鋪 美香 弁護士「新たに主張を追加しないと──現状ではその点の主張は、訴状段階からはしてきていないので」
被爆体験者訴訟 弁護団 三宅 敬英 弁護士「ただ、"(両県差の)不合理さ"は使いたいですよね。どうやったって説明が付かないですもんね。長崎は認めなくて広島は認めるという事はですね」

広島「黒い雨」訴訟弁護団 足立 修一 弁護士「どう考えてもおかしいですね。結局、裁判で勝ったか負けたかしかないわけでしょ。裁判で勝たないと駄目よ、みたいな話ですよね」


過去の裁判(長崎「被爆体験者」訴訟)で、長崎の被爆体験者達は『放射性降下物によって被曝したが、大した"線量"ではない(100msV以下)」と請求を却下されてきました。


一方、広島の判断(広島高裁 広島「黒い雨」訴訟 2021年7月)に、線量は出てきません。黒い雨を浴びた“可能性”、健康影響を受けた“可能性″ で、全原告を被爆者と認めました
これは "裁判官の違い"と言えます。


中鋪 美香 弁護士「前回の期日で(裁判官から)線量について言及があったんですよね。線量主張しないんですか?とか、まさにそういう質問がありました。勝つポイントは、裁判官が線量にこだわらないことです」


三宅 敬英 弁護士「勝たないといけないと思ってますよ。広島で全員勝訴して、長崎で全員敗訴したままというのは放置できないから。国側が長崎と広島を区別することの(合理的な)説明ができていない以上、十分に勝ち目はあると思ってるし、勝たなきゃいけないと思ってます」


8月9日、総理大臣が慰霊のため長崎を訪れるこの日に、被爆者援護のいくつかは過去、前進を実現させてきました。

被爆体験者の『政治解決』はあるのか…?


岩永 千代子さん「慰霊祭の時に岸田さんがどういう発言されるか分かりませんけど、政治判断で救えるんだったら、政治判断されたらいいんじゃないですか?って。政治判断したくないんですか?」

被爆未指定地域から核兵器の恐ろしさを訴える被爆体験者たち。
広島との差別という新たな苦しみを背負いながら、被爆から77年の夏を迎えようとしています。