職人たちの繊細な手仕事と、熟練の技が生み出す美しい着物「加賀友禅」。伝統技術の継承と、次世代の担い手を育てる「加賀友禅技術保存会」に、創立45年で初めてとなる女性会員が加わりました。伝統のみならず、新時代の加賀友禅に挑む作家の想いに迫ります。

Q.デザインやレイアウトはすぐ頭に浮かぶ?
「そうなんですよ、一瞬です。こういうの好きやなとか…やっぱり感動に勝るものはないですね」

金沢市内のとある工房。加賀五彩をベースに、手慣れた様子で絶妙な色味を生み出す姿は、まさに職人技です。
白山市出身の松島由美さん(65)。加賀友禅作家の母親の影響で、自身も30歳で加賀友禅の世界に足を踏み入れました。

金箔や刺繍といった京友禅では一般的な装飾を使わず、職人たちの卓越した技によって、日本の花鳥風月を表現する加賀友禅。一方で、松島さんが得意とするのは、伝統的な絵柄とは一線を画す「新しい加賀友禅」です。

松島由美さん
「飛行機に乗りまして、雲の上を飛んでいた時です。後方からの夕日が全面に雲の反射を受けて煌びやかに綺麗に光っていました。どうしてもその印象が頭を渦巻き、ぜひそれを着物の柄にしたいと思いました」
日常生活で感動した物事を、自身の作品に落とし込む。それが松島さんの、作品づくりのポリシーです。

ところで、1970年代に300人いた加賀友禅作家は、今ではその3分の1にまで減少。このうち女流作家は40人ほどで、業界は長きにわたり「男性社会」とされてきました。

加賀友禅技術保存会・由水十久会長
「女性作家を育成していこうということで、保存会に遅れること5年ほどで女流展が誕生しました。その中では、松島さんが群を抜いて完成度のある安定した物作りを示すようになりました」

後継者不足が叫ばれる加賀友禅の技術を後世に伝え、未来を担う人材を育てようと1977年に設立された、「加賀友禅技術保存会」。作家を中心に10人が加入する保存会で松島さんは去年、これまでの展覧会での成績や実力が評価され、創立45年で初めてとなる女性会員に選ばれました。

由水会長
「着物の構図としては非常にダイナミックなものを、ある意味では男性以上に力強いものを発表してこられた。女性の才能をもう少し業界に反映させるように率先して立って頂きたい。期待しています」

伝統とは「地盤固め」。ただ受け継ぐだけでは衰退していくと、松島さんは訴えます。
松島由美さん
「10年先や20年先に想像するものって自分が考えているよりも多分もっと先進的なものになっているはずなんです。先人が築き上げたものを知りながら、次のステップを歩んでいくのが今やるべきことかなと思います」














