ロシア国内で、クーデター発生の可能性が考えられるのでしょうか。中村教授はロシア国防省と民間軍事会社「ワグネル」との関係を踏まえ、次のように解説します。

筑波大学 中村逸郎 名誉教授
「今のロシアは、ロシア国防省とは別に、民間の軍事組織ワグネルという2つの軍隊がウクライナと戦っています。ただロシア国防省はワグネルに兵器を全然渡していないんですね。そのことに対してワグネルのオーナーのプリゴジンさんはものすごく批判を強めています。ロシア国防省だけでなく、プーチンに対しても非常に批判を始めてきています。

このワグネルの人たちは兵器がないんです。また、ロシア国防省に対する不満もいっぱいため込んでいる。それでどうしているかというと、どうやらウクライナ軍から兵器をもらっているんじゃないかという見方が出ています。

そして今、ロシアの国境辺りの都市がどんどんウクライナから攻撃されています。これはウクライナ軍が撃っているよりも、ワグネルが撃っているという話も出てきています。

ですからロシアの中で、正規軍と民間の軍事組織が対立している。この対立しているワグネルを、ウクライナ軍が支援する、そうした形でロシアの中で内乱が起こっていく、そしてこのワグネルは、地方行政府の建物を軍事的に制圧していく。そしてクレムリン・モスクワへの包囲網を拡大していって、二重権力、そしてワグネルのオーナーのプリゴジンさんが臨時政府の樹立を発表するのではないか、という形で、このプーチン政権は8月には崩壊するんじゃないかという見立ても出てきています」