国会で、性的マイノリティへの理解に関する法律「LGBT理解増進法」が可決・成立しました。これで「多様な性」への理解が深まるのでしょうか。福島県内の当事者からは期待と不安の声が上がりました。

6月16日に成立したLGBT理解増進法。
「理解増進」をうたう一方で、当事者からは「理解抑制法」などと厳しい意見も出ています。

LGBTの現状に詳しい福島大学の前川直哉准教授は、今回の法律について、次のように指摘します。

福島大学・前川直哉准教授「その人たち(性的マイノリティ)への理解を進めると、誰か別の人の人権が侵害されるのか、不安に思うのか、そういった誤った人権観が出ているかなと感じる。」

そのうえで、当事者が脅威になるかのような表現があるのではと、疑問を呈します。

前川准教授「これまで性的マイノリティとして抑圧されてきた権利が制限されてきた。そういった反省を今回の法案には見られなかった。」

当事者は、どうとらえているのでしょうか。県内で観光サービスの仕事に携わっている金光弦太さんと栗田純一さん。2人は7年前から交際しているカップルです。法律の成立で、社会の関心が高まると、期待する一方で、不安もあるといいます。

金光弦太さん「こういう人も世の中にはいますよと、小学生中学生から知る機会を与えるのに後押しになる法案かなと思っている。」

一方、栗田さんは、今回の法律では、自分の性をどう認識しているかということと、性的指向が整理されていない点に問題があると言います。

栗田純一さん「同性愛と性自認がみんなのなかでゴチャゴチャになっていると思う。(法律が)困っている方のケアになっていないと思う。」

「多様な性」が広く理解される社会となるために…。法律が成立した後も、課題は残されています。