「“究極のロシア人化”」
サーシャさんの母親は、これは保護などではなく誘拐だと訴える。子どもたちが連れ去られた頃、自宅近くが攻撃を受け、自分たちも避難していたため子どもを探しに出ることもできなかったという。

サーシャさんの母 オルガさん
「ロシアは子どもたちを激戦地のマリウポリから避難させたのではなく、別の家族の養子にしたかったのです。(中略)ぬいぐるみを買って、中に私たちの電話番号や住所などを書いた紙を入れて、それを子どもたちに渡すように支援者に依頼しました。もしも子どもたちがバラバラにされ、異なった家族に預けられたとしても、何とか居場所が分かるようにして連絡を取れる状態にしたかったのです」
ウクライナの子どもを誘拐して、ロシア人家族の養子にするというのは何を目的としているのだろうか?実はそこにプーチン氏の根本的な思想があると専門家は言う。
朝日新聞 駒木明義 論説委員
「子どもというのはその国の未来です。つまりウクライナの将来を奪う。ロシアの一部としてのウクライナを作り出す。だから現在の約2万人の連れ去りでは満足な数じゃない…」

防衛研究所 兵頭慎治 研究幹事
「今回のウクライナ侵略のプーチンの思想的背景は、有名な“プーチン論文”というのが2014年7月にありますが…。ウクライナとロシアは同一民族で同一国家であるべきだっていう考えがベースにある。将来を担う世代をロシアに連れていく。“究極のロシア人化”ということだと思う。施設でもロシア語を使わせ、ロシア国家を歌わせ、愛国教育もやってる…」

サーシャさんと兄弟姉妹の6人は、連れ去られてから4か月後、監視役のロシア側担当者が不在の時に施設を脱出。支援者の助けでラトビアを経由しバスで4日かけベルリンへ逃げ、その後、家族と再会できたという。

ロシア側に連れ去られた少年 サーシャさん(13歳)
「再会できて本当にうれしかったです」
しかし、サーシャさんたちと一緒に写真に写っていた他の家の子どもたちが今どうしているのかはわからない…。そして、サーシャさんたちのように運良く戻れたとしても問題は残るという。